潰瘍性大腸炎とクローン病
潰瘍性大腸炎とは
大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。
(難病情報センター)
クローン病とは
主として若年者にみられ、口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こりえますが、小腸の末端部が好発部位で、非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在すること)が特徴です。それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じる病気です。
(難病情報センター)
治療の目的
活動期 | ・速やかな寛解導入 | 寛解期 | ・再燃、再発の予防 |
・合併症の治療 | ・発癌の予防 | ||
・栄養状態の改善 | ・QOLの改善 |
定期的な通院
医師の指導のもと、服薬の遵守
医師の指導のもと、服薬の遵守
病気の進展予防
炎症性腸疾患の再燃因子
- 上気道感染
- 薬剤(抗生物質や非ステロイド系消炎鎮痛剤など)の服用
- 過労や寝不足
- 精神的ストレス
- 就学,就職,転職, 結婚などによる生活環境の変化
- 妊娠や出産
- 過食や過飲
- 治療の中断
潰瘍性大腸炎の食事療法
1)高エネルギーの確保 | ⇒ | 糖質(主食)をしっかり摂取 |
2)脂質 | ⇒ | 腸管の安静保持と再燃予防のため,量と質に注意 |
3)食物繊維 | ⇒ | 活動期は食物繊維の多い食品や消化の悪い食品を避ける |
⇒ | 寛解期は積極的に食物繊維を摂る | |
4)タンパク質 | ⇒ | 陸上動物のタンパク源を減らし,植物性,魚介類中心に摂取 |
5)Probiotics | ⇒ | 緩解期では積極的にProbioticsを* |
* Ishikawa H,Akedo I,Umesaki Y,et al:Randmized controlled trial of the effect of bifidobacteria fermented milk on ulcerative colitis.J Am Col Nutr22:56-63,2003
寛解期の食事は一般の方の健康食
クローン病の食事療法
1)高エネルギーの確保 | ⇒ | 糖質(主食)をしっかり摂取 |
2)脂質 | ⇒ | 腸管の安静保持と再燃防止のため,量と質に注意 |
3)食物繊維 | ⇒ | 活動性の病変を有する場合や狭窄による通過障害のある時は食物繊維の多い食品や消化されにくい食品を避けるが,それ以外では,厳しい制限はしない |
⇒ | 活動性ではない下痢の時〜水溶性食物繊維を補給する | |
4)タンパク質 | ⇒ | 陸上動物のタンパク源は減らし,植物性,魚介類中心とする |
炎症性腸疾患の手術適応
潰瘍性大腸炎 | クローン病 | |||||
手術率 15.4% (64/416例) | 手術率 43.0% (65/151例) | |||||
手術適応 | 個数 | 手術適応 | 個数 | |||
内科的治療が無効 | 31例 | (47%) | 腸狭窄 | 25例 | (38%) | |
大量出血 | 15例 | (23%) | 狭窄+瘻孔 | 20例 | (31%) | |
中毒性巨大結腸症 | 7例 | (11%) | 虫垂炎の疑い | 5例 | (8%) | |
ステロイド副作用 | 5例 | (8%) | 膿瘍形成 | 4例 | (6%) | |
慢性難治 | 3例 | (5%) | 穿孔 | 2例 | (3%) | |
穿孔(含疑い) | 1例 | (2%) | 大出血 | 1例 | (2%) | |
その他 | 2例 | (4%) | その他 | 8例 | (12%) |
*手術適応事例:北里大学東病院
内部障がい・身体障がい者認定 (身体障害者福祉法)
- 心臓機能障がい
- 呼吸器機能障がい
- じん臓機能障がい
- 膀胱又は直腸の機能障がい
- 小腸機能障がい
- 免疫機能障がい
炎症性腸疾患と身体障がい者手帳
膀胱・直腸機能障がい
膀胱・直腸機能障がい
【炎症性腸疾患に関連する認定対象条件】
人工肛門のストマをもつ場合 または 治癒困難な腸瘻がある場合
⇒ 腸瘻のみの場合は4級
排泄処理困難など合併がある場合 1級 3級
排泄処理困難など合併がある場合 1級 3級
膀胱・直腸機能障がい
【炎症性腸疾患に関連する認定対象条件】
小腸機能の著しい低下があり かつ 経管栄養療法を実施している
⇒ 1級 3級 4級
→ 特定疾患 ≠ 身体障がい者