Q & A
若い年代の女性オストメイトは、外に出ること、人と関わる機会がとても多く、そのために様々な不安や心配がたくさんあります。ここではストーマと生活する上でのヒントをご紹介します。
日常生活
・食 事
・入 浴
・トイレ
・外 出
・スポーツ
・服 装
・仕 事
ストーマに関すること
・腸閉塞
・下 痢
・便 秘
・腹 痛
・におい
・消 音
・皮膚トラブル
・くすり
セクシュアリティ
・恋愛・結婚
・妊娠・出産
・性生活
日常生活
ストーマを造設したら、食事の制限はありますか?
赤井澤 淳子 (コンバテック ジャパン(株) 皮膚・排泄ケア認定看護師)
食生活で気をつけること
食事は規則正しくバランスよく良く噛んで腹八分目にいただきましょう。イレオストミーの方でクローン病、潰瘍性大腸炎の治療がある場合は、医師や栄養士の指導に沿った食事療法が必要です。
また、体重の増加(または減少)には気をつけましょう。装具が合わなくなるからです。もし体重の変化で装具が合わなくなった場合は、装具の変更や工夫が必要ですので、皮膚・排泄ケア認定看護師などにご相談ください。普通の食事に戻っても体重がなかなか元に戻らないときは、食事の内容を主治医や栄養士に相談したほうがよいでしょう。
ストーマの手術を受けたあとも、基本的には手術前と同じように食事できます。ただ、気をつけなければならないことがあります。おなかの手術を受けた場合、少なからず腸の癒着があると言われています。腸の癒着の場合、何かの拍子で癒着部分がねじれたりして、食べた物の塊がつまったりすると腸閉塞になります。突然の強い腹痛、吐き気、排便が止まるなどの症状です。ですから、食事は規則正しくし、消化の良いものを良く噛んで召し上がってください。海藻類やこんにゃく、きのこ類を一度にたくさん食べたり、塊のまま飲み込んだりすることは避けましょう。腸閉塞にならないように、食事に注意するとともに適度な運動をして胃腸の動きをよくしましょう。
それから、下痢のときは、脱水にならないように水分・電解質補給や、便を硬めにする消化のよいでんぷん質のもの(ごはんやマッシュポテトなど)を食べるとよいでしょう。それでも良くならなければ受診をお勧めします。脱水になると、熱っぽかったり、とても喉が渇いたり、腹痛、尿量減少、呼吸が速くなったり、頭痛がしたりします。そのようなときは、スポーツドリンクを飲むことで失われた電解質を補うことができます。余分に塩分を摂ること、バナナを食べることもよいようです。症状が改善しないときは受診が必要です。
また、水分を十分取ることにより、尿がアルカリ性になることを防ぎ、それによる強い尿臭、ストーマ周囲皮膚の荒れや結晶成分の付着予防にもなります。クランベリージュースを飲むこともよいでしょう。アスパラガス、にんにく、たまねぎなどを食べて尿臭が強くなることが言われていますが、これらを全く食べないようにするのではなく、知っておいて、必要に応じて避けるようにしてはいかがでしょうか。また、現在はパウチのフィルムが改良されて防臭構造になっています。尿臭を強くする食べ物でもあまり気にする必要はないかもしれません。
また、体重の増加(または減少)には気をつけましょう。装具が合わなくなるからです。もし体重の変化で装具が合わなくなった場合は、装具の変更や工夫が必要ですので、皮膚・排泄ケア認定看護師などにご相談ください。普通の食事に戻っても体重がなかなか元に戻らないときは、食事の内容を主治医や栄養士に相談したほうがよいでしょう。
ストーマの手術を受けたあとも、基本的には手術前と同じように食事できます。ただ、気をつけなければならないことがあります。おなかの手術を受けた場合、少なからず腸の癒着があると言われています。腸の癒着の場合、何かの拍子で癒着部分がねじれたりして、食べた物の塊がつまったりすると腸閉塞になります。突然の強い腹痛、吐き気、排便が止まるなどの症状です。ですから、食事は規則正しくし、消化の良いものを良く噛んで召し上がってください。海藻類やこんにゃく、きのこ類を一度にたくさん食べたり、塊のまま飲み込んだりすることは避けましょう。腸閉塞にならないように、食事に注意するとともに適度な運動をして胃腸の動きをよくしましょう。
【コロストミーの方】
手術後の消化管の完全な回復には時間がかかります。大腸の長さが手術で短くなっているうえ、ストーマには肛門のような括約筋がありません。排便の回数が手術前より多くなることが考えられます。すぐに手術前のような食生活に戻ることはできませんが、いろいろな食品を少しずつ試していかれるとよいでしょう。1回の食事に1つの新しい食品を加えてみましょう。そうすることによって、どの食品が合うか合わないかがわかります。もし合わない食品があっても、また数週間後に試してみましょう。もしかしたら今度は大丈夫かもしれません。規則正しく、1回の食事にはたっぷり時間をかけていただきましょう。便秘をしやすい方は水分を多めに摂り、便を柔らかくする食品や運動を組み合わせて、なるべく自然に排便できるよう工夫してみて下さい。それでも便秘がちの場合は、主治医と相談して、自分にあった薬を処方していただくとよいでしょう。
【イレオストミーの方】
規則的なバランスの取れた食事をゆっくり食べること、水分を多めに摂取することと良く噛むことによって、ガスや臭い、フードブロッケージや下痢、脱水を防ぐことができます。特に、フードブロッケージは気をつけなければならないでしょう。フードブロッケージは繊維の多い食べ物が毛糸玉のように固まってストーマから出ずに詰まってしまうことです。小腸は大腸に比べて細いので繊維の多い食品を一度によく噛まずに食べたりすると通過障害が起きます。症状としては、完全に便が出なくなったり、薄い水様の便が出るのみ、または、排便が止まることと腹痛が合わさる状態だったりします。加えて、強い臭気や嘔吐、おなかの張った感じもあるかもしれません。自分で判断して下剤などは服用しないで、医師の診察と適切な処置を受けてください。それから、下痢のときは、脱水にならないように水分・電解質補給や、便を硬めにする消化のよいでんぷん質のもの(ごはんやマッシュポテトなど)を食べるとよいでしょう。それでも良くならなければ受診をお勧めします。脱水になると、熱っぽかったり、とても喉が渇いたり、腹痛、尿量減少、呼吸が速くなったり、頭痛がしたりします。そのようなときは、スポーツドリンクを飲むことで失われた電解質を補うことができます。余分に塩分を摂ること、バナナを食べることもよいようです。症状が改善しないときは受診が必要です。
【ウロストミーの方】
ウロストミーの方は手術後すぐ普通の食事をすることができます。尿路感染予防のためにも、水分を多めに摂るように心がけましょう。水分摂取量は季節や発汗量によっても違いますので、1日尿量を2,000mlは出るように気をつけて水分を摂りましょう。また、水分を十分取ることにより、尿がアルカリ性になることを防ぎ、それによる強い尿臭、ストーマ周囲皮膚の荒れや結晶成分の付着予防にもなります。クランベリージュースを飲むこともよいでしょう。アスパラガス、にんにく、たまねぎなどを食べて尿臭が強くなることが言われていますが、これらを全く食べないようにするのではなく、知っておいて、必要に応じて避けるようにしてはいかがでしょうか。また、現在はパウチのフィルムが改良されて防臭構造になっています。尿臭を強くする食べ物でもあまり気にする必要はないかもしれません。
代表的な食品
便が硬くなり やすい食品 |
便が柔らかく なりやすい食品 |
繊維が多い食品 | 臭いを強く しやすい食品 |
ガスを発生 させやすい食品 |
ごはん 白いパン もち うどん くずゆ など |
生野菜 生の果物 豆類 脂っこいもの 揚げ物 海藻 ごぼう ブロッコリー こんにゃく アルコール類 きのこ ビール など |
玄米 胚芽パン 海藻 葉菜類 とうもろこし ポップコーン きのこ 豆類 芋類 ごぼう こんにゃく パイナップル など |
にんにく ねぎ にら たまねぎ アスパラガス 卵 豆 チーズ 魚介類 ビール など |
豆類 大根 芋類 ごぼう カリフラワー ブロッコリー ビール 炭酸飲料 など |
どんなことに気をつけて食事をとればいいでしょうか?
斎藤 恵子 (社会保険中央総合病院 管理栄養士)
ストーマを持ったからといって、特別な食事を摂る必要はありません。術後は流動食から徐々に進めて、体調の回復とともに通常の食事に戻すことができます。いろいろな食品を組み合わせて、バランスの取れた食事にしましょう。
水分と電解質
オストメイトの中には、水分や電解質の吸収が不十分なことに加えて、排泄量を減すために水分の摂取を控えることがよくみられます。このような状態が長く続くと脱水症が心配になります。のどが渇く、唇の乾燥、目がくぼむ、疲労感が強くなる、気力がなくなる、体力の消耗、体重減少などが脱水の症状です。またナトリウム(Na)、カリウム(K)、リン(P)、マグネシウム(Mg)といった電解質の不足にも注意が必要です。主な欠乏症状については表1を参照して下さい。
オストメイトの方は、便の排泄量や性状はよく観察されていますが、尿量はあまり気にされていないようです。体の老廃物は尿から排泄されますが、尿量が少ないと老廃物を排出しにくくなり、腎臓に負担がかかります。また腎結石や尿路結石ができやすくなります。
ストーマからの排泄が多い時は、尿の量や色も観察する習慣をつけましょう。脱水傾向の時は、尿の量は減り、色が濃くなります。脱水予防のため、尿量を1日に最低700〜800mlは確保できるよう、十分に水分を摂りましょう。(1日の水分平衡については表2参照)また、食事量が減少した時、運動や発熱で汗をかいた時は、いつもより多めに水分を補給するように心がけましょう。
飲食するとストーマから出てしまうので食べないのではなく、ストーマに排泄されたから補うという気持ちをお忘れなく。
表1.不足しやすい電解質と欠乏症状および多く含まれる食品
電解質 | 欠乏症状 | 多く含まれる食品 |
ナトリウム (Na) |
倦怠、食欲不振、のどが渇く、 塩気を欲しがる、筋力低下など |
塩鮭、たらこ、梅干、味噌汁、 昆布茶、スープ類など |
カリウム (K) |
脱力、筋力低下、筋肉痛、しびれ、 けいれん、不整脈、頻脈、 消化管運動の低下、イレウスなど |
芋類、バナナ、きなこ、 野菜ジュース、果汁など |
リン (P) |
倦怠、疲れやすい、食欲不振、 集中力低下、筋力低下など |
骨ごと食べる魚、小魚、 高野豆腐、玄米など |
マグネシウム (Mg) |
疲労感、食欲不振、吐き気、嘔吐、 動悸、不整脈、手足の震えなど |
きな粉、豆腐、納豆、バナナ、 ナッツ類、玄米など |
オストメイトの方は、便の排泄量や性状はよく観察されていますが、尿量はあまり気にされていないようです。体の老廃物は尿から排泄されますが、尿量が少ないと老廃物を排出しにくくなり、腎臓に負担がかかります。また腎結石や尿路結石ができやすくなります。
ストーマからの排泄が多い時は、尿の量や色も観察する習慣をつけましょう。脱水傾向の時は、尿の量は減り、色が濃くなります。脱水予防のため、尿量を1日に最低700〜800mlは確保できるよう、十分に水分を摂りましょう。(1日の水分平衡については表2参照)また、食事量が減少した時、運動や発熱で汗をかいた時は、いつもより多めに水分を補給するように心がけましょう。
飲食するとストーマから出てしまうので食べないのではなく、ストーマに排泄されたから補うという気持ちをお忘れなく。
表2.体重60kgの1日の水分平衡
水分摂取(ml) | 水分排出(ml) |
飲水 1,200 | 尿 1,500 |
食事 1,000 | 不感蒸泄 900 (皮膚呼吸,呼吸などから失われる水分) |
代謝水 300 | 糞便 100 |
計 2,500 | 2,500 |
水分と電解質の摂り方について
水分の補給は水、お茶だけでなく、塩分と糖分、カリウムを含んだ飲料を摂ることが大切です。スポーツドリンク、味噌汁、野菜スープ、野菜ジュース、昆布茶、果汁などがよいでしょう。
のどが渇いたと感じたら,軽い脱水といわれています。一気に飲むのではなく、少量ずつこまめに飲むことが大切です。冷たすぎるもの、熱すぎるものは腸管の蠕動運動を亢進させるので控えましょう。
ストーマからの排泄が多い方は普段からナトリウム(Na)、カリウム(K)の多い食事を心がけましょう。腎臓病や心臓病などの合併症がなければ、減塩食にする必要はありません。
最近では経口補水飲料が注目されています。経口補水飲料とは、水と電解質を多量に、速やかに補給しなければならない時に、口から飲む飲料のことです。市販のスポーツドリンクよりも多量に電解質を含んでいます。医薬品ではソリタT顆粒、市販品ではOS−1(オーエスワン)、アクアソリタ、アクアライトなどがお勧めです。
のどが渇いたと感じたら,軽い脱水といわれています。一気に飲むのではなく、少量ずつこまめに飲むことが大切です。冷たすぎるもの、熱すぎるものは腸管の蠕動運動を亢進させるので控えましょう。
ストーマからの排泄が多い方は普段からナトリウム(Na)、カリウム(K)の多い食事を心がけましょう。腎臓病や心臓病などの合併症がなければ、減塩食にする必要はありません。
最近では経口補水飲料が注目されています。経口補水飲料とは、水と電解質を多量に、速やかに補給しなければならない時に、口から飲む飲料のことです。市販のスポーツドリンクよりも多量に電解質を含んでいます。医薬品ではソリタT顆粒、市販品ではOS−1(オーエスワン)、アクアソリタ、アクアライトなどがお勧めです。
便 性
下痢の時
水様便が多量に排泄される時には、水溶性食物繊維を摂ってみましょう。水溶性食物繊維は、りんご、バナナ、桃などに多く含まれています。その他、米飯、餅、うどん、パン、パスタ、芋類(皮を剥いたじゃが芋やさつま芋)、ブラン系のシリアルなども便性を整える効果が期待できます。
便性を整えることで、ストーマ装具が安定して装着できるようになります。また、漏れも少なくなり皮膚のトラブルも予防できます。
便秘の時
(1) 食物繊維を十分に摂りましょう。
食物繊維は野菜・豆類・きのこ類・海藻類・果物・こんにゃくなどにたくさん含まれています。便量を増やし,腸管の運動を活発にする食物繊維(不溶性)と、便の水分が必要以上に吸収されるのを防ぎ,柔らかさを調節する食物繊維(水溶性)をバランスよく摂ることが大切です。以下の表を参考に、野菜・豆類・きのこ類・海藻類・果物・こんにゃくなどを毎食摂る習慣をつけてください。
主食を玄米や雑穀、シリアルなどを摂取すると簡単に食物繊維の量が増やせます。1日の野菜の摂取量の目安は300〜400g(生野菜なら両手1杯、加熱したものなら片手1杯のいずれかを毎食摂取する)。
(2) 水分を十分に摂りましょう。(2,000〜2,500ml/日)
朝起きたらすぐに冷水や牛乳を飲んで,腸管を刺激するのも良い方法です。
(3) 適度に脂肪を摂ることにより腸管が刺激され、また便の滑りがよくなります。
(4) 腸内環境を整える食品を摂りましょう。
ビフィズス菌、乳酸菌を含んだ乳製品や飲料を積極的に摂りましょう。
水様便が多量に排泄される時には、水溶性食物繊維を摂ってみましょう。水溶性食物繊維は、りんご、バナナ、桃などに多く含まれています。その他、米飯、餅、うどん、パン、パスタ、芋類(皮を剥いたじゃが芋やさつま芋)、ブラン系のシリアルなども便性を整える効果が期待できます。
便性を整えることで、ストーマ装具が安定して装着できるようになります。また、漏れも少なくなり皮膚のトラブルも予防できます。
便秘の時
(1) 食物繊維を十分に摂りましょう。
食物繊維は野菜・豆類・きのこ類・海藻類・果物・こんにゃくなどにたくさん含まれています。便量を増やし,腸管の運動を活発にする食物繊維(不溶性)と、便の水分が必要以上に吸収されるのを防ぎ,柔らかさを調節する食物繊維(水溶性)をバランスよく摂ることが大切です。以下の表を参考に、野菜・豆類・きのこ類・海藻類・果物・こんにゃくなどを毎食摂る習慣をつけてください。
主食を玄米や雑穀、シリアルなどを摂取すると簡単に食物繊維の量が増やせます。1日の野菜の摂取量の目安は300〜400g(生野菜なら両手1杯、加熱したものなら片手1杯のいずれかを毎食摂取する)。
(2) 水分を十分に摂りましょう。(2,000〜2,500ml/日)
朝起きたらすぐに冷水や牛乳を飲んで,腸管を刺激するのも良い方法です。
(3) 適度に脂肪を摂ることにより腸管が刺激され、また便の滑りがよくなります。
(4) 腸内環境を整える食品を摂りましょう。
ビフィズス菌、乳酸菌を含んだ乳製品や飲料を積極的に摂りましょう。
イレウスを防ぐために
癒着や吻合部の狭窄などが疑われる場合には、非水溶性食物繊維の多い食品、消化の悪いタンパク質の食品の摂取に注意しましょう。
【非水溶性食物繊維の多い食品】
【消化が悪く、胃液の分泌を促進する食品】
上記の食品だけでなく、一回の食事量が多いと通過障害を起こすことがあるので、3食ではなく、食事量を減らし4〜5食と回数を増やすのも良い方法です。
【非水溶性食物繊維の多い食品】
芋 類 | こんにゃく、しらたき、皮付きの芋類など |
豆 類 | 皮付きの豆類、おからなど |
種実類 | アーモンド、ピーナッツなど |
野菜類 | いんげん、オクラ、かんぴょう、小松菜、ごぼう、セロリ、 とうもろこし、ニラ、にんにくの芽、ほうれん草、れんこん、 切干大根、たくあん、野沢菜、もやしなど |
山菜類 | たけのこ、メンマ、ぜんまい、わらびなど |
果実類 | 干した果物、かんきつ類の皮、さくらんぼなど |
きのこ類 | えのきたけ、しいたけ、しめじ、エリンギ、きくらげなど |
海藻類 | 昆布、わかめ、ひじき、めかぶ、茎わかめなど |
【消化が悪く、胃液の分泌を促進する食品】
いか、たこ、貝類、佃煮、燻製など
脂の多い肉類(ロース肉、ばら肉、鶏肉の皮、ベーコンなど)、塊の肉
脂の多い肉類(ロース肉、ばら肉、鶏肉の皮、ベーコンなど)、塊の肉
不溶性食物繊維を多く含む食品 | 水溶性食物繊維を多く含む食品 | |||||
食品名 | 1食分 | g | 食品名 | 1食分 | g | |
干し柿 | 70 | 8.9 | もも | 200 | 1.2 | |
花豆 | 30 | 7.7 | フランスパン | 100 | 1.2 | |
グリンピース | 30 | 5.6 | ロールパン | 100 | 1.0 | |
ささげ・小豆 | 30 | 5.1・5.0 | 洋梨 | 150 | 1.1 | |
いんげん豆 | 30 | 4.8 | さといも | 100 | 0.8 | |
大豆 | 30 | 4.6 | 素麺・冷麦(乾) | 100 | 0.7 | |
ひじき | 10 | 4.3 | マカロニ・スパゲッティ | 100 | 0.7 | |
干し椎茸 | 10 | 3.8 | トマトジュース | 195 | 0.6 | |
ライ麦パン | 100 | 3.6 | じゃがいも | 100 | 0.6 | |
切干大根 | 20 | 3.4 | やまいも | 100 | 0.6 | |
たけのこ | 70 | 2.3 | りんご | 150 | 0.5 | |
納豆 | 50 | 2.2 | りんご缶詰 | 100 | 0.4 | |
ごぼう | 50 | 1.7 | バナナ | 100 | 0.1 | |
玄米 | 90 | 1.6 | スイカ | 100 | 0.1 |
上記の食品だけでなく、一回の食事量が多いと通過障害を起こすことがあるので、3食ではなく、食事量を減らし4〜5食と回数を増やすのも良い方法です。
ガ ス
ガスの発生原因はいろいろ考えられます。
(1) 豆類、ごぼう、こんにゃく、きのこなど繊維が多い食品が発酵する
(2) メロン、ぶどうなど食品そのものに含まれるイースト菌が腸内で発酵する
(3) 発泡性の炭酸飲料やビールのガスがたまる
(4) 脂肪の多い食事
ガスを少なくして快適な毎日を送るために、上記の食品を控え、口を閉じて食べるなど、食べ方も工夫してみましょう。
またストレスがある時には飲み込む空気が多くなるとも言われています。急にガスが多くなったらストレスチェックをしてみましょう。
その他、腸内細菌のバランスの悪化も原因として考えられます。腸内環境を整えるとガスが少なくなり、腹部膨満が改善することがあります。
乳酸菌飲料やヨーグルトなどを試してみてください。
(1) 豆類、ごぼう、こんにゃく、きのこなど繊維が多い食品が発酵する
(2) メロン、ぶどうなど食品そのものに含まれるイースト菌が腸内で発酵する
(3) 発泡性の炭酸飲料やビールのガスがたまる
(4) 脂肪の多い食事
ガスを少なくして快適な毎日を送るために、上記の食品を控え、口を閉じて食べるなど、食べ方も工夫してみましょう。
またストレスがある時には飲み込む空気が多くなるとも言われています。急にガスが多くなったらストレスチェックをしてみましょう。
その他、腸内細菌のバランスの悪化も原因として考えられます。腸内環境を整えるとガスが少なくなり、腹部膨満が改善することがあります。
乳酸菌飲料やヨーグルトなどを試してみてください。
便 臭
便臭は栄養素(特にタンパク質)が腸内細菌や腸内酵素によって分解され、その一部が有害で悪臭の強い分解物に変化したものです。その他ニンニク、ネギ、ニラなどの有臭食品や肉類、乳製品(特にチーズなど)の高タンパク質、高脂肪食品も悪臭の原因となります。便臭が気になる時はこれらの食品を控えましょう。また腸内細菌叢を整えると便臭も軽減されるので、乳酸菌飲料、ヨーグルトや市販のシャンピニオンエキスなどもお薦めします。
お風呂に入るとき、どんなことに気をつければいいですか?
赤井澤 淳子 (コンバテック ジャパン(株) 皮膚・排泄ケア認定看護師)
お風呂でも温泉でも湯船につかるときは、なるべくリラックスできるような準備をされるといいですね。まず、食後2時間以上経ってから入ること。パウチは、なるべく小さくまとめられればその方が目立たないし、体を洗う時にも邪魔にならないです。ミニパウチやキャップなどもありますが、ドレインパウチ(下部開放型)でもたたんで輪ゴムでたすきがけするように止めると簡単です。
皮膚保護材の外縁がお湯でふやけるのを防ぐために、肌に合ったテープで額縁状にカバーして入ることもお勧めです。自宅のお風呂で、入浴に合わせて装具交換してしまう、という場合は、何も貼らないで湯船につかることもできます。(体の内圧はお風呂の水圧よりも高いので、体内にお湯が入ることはありません)ただし、いざという時のため、プリンの空容器などを準備しておくと安心ですね。
ウロストミーでストーマに管が入っている場合は、パウチをつけたままの入浴になります。ツーピースならミニパウチにしてもいいです。中にパッド付きのミニパウチもありますが、パッドがついてなければティッシュペーパーなどを折りたたんで入れても尿がしみこみやすくていいです。
温泉で個室露天風呂とか家族風呂とかを利用する場合、泉質にも注意が必要です。硫黄泉の場合、ストーマの粘膜にお湯が触れないように、パウチをつけて入るのがいいようです。また、熱いお湯の場合もストーマ粘膜がやけどしないようにパウチで保護するのがよさそうですね。
皮膚保護材の外縁がお湯でふやけるのを防ぐために、肌に合ったテープで額縁状にカバーして入ることもお勧めです。自宅のお風呂で、入浴に合わせて装具交換してしまう、という場合は、何も貼らないで湯船につかることもできます。(体の内圧はお風呂の水圧よりも高いので、体内にお湯が入ることはありません)ただし、いざという時のため、プリンの空容器などを準備しておくと安心ですね。
ウロストミーでストーマに管が入っている場合は、パウチをつけたままの入浴になります。ツーピースならミニパウチにしてもいいです。中にパッド付きのミニパウチもありますが、パッドがついてなければティッシュペーパーなどを折りたたんで入れても尿がしみこみやすくていいです。
温泉で個室露天風呂とか家族風呂とかを利用する場合、泉質にも注意が必要です。硫黄泉の場合、ストーマの粘膜にお湯が触れないように、パウチをつけて入るのがいいようです。また、熱いお湯の場合もストーマ粘膜がやけどしないようにパウチで保護するのがよさそうですね。
「湯ったりシート」
オストメイト用温泉・入浴/保護シート
オストメイト用温泉・入浴/保護シート
ストーマを造設してから外出がとても不安です。
工藤 礼子 (八王子消化器病院 看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師)
「外出時のヒント」
ストーマが造られてから外出はできていますか?ストーマケアのこつを覚えればかえって外出しやすくなったという方もおいででしょう。そうなのです!ストーマを造設されたから、外出ができないわけではありません。病状が安定し、方法を覚えれば充分手術前の生活に戻ることは可能です。それではいろいろな情報を合わせた上で、いくつかの項目別に説明していきます。
≪外出≫
ここで言う外出とは、家を一歩外に出て、目的地に向かうすべての範囲を含みます。
気をつけたいことは、
・体力の回復に合わせて時間と距離を調整する。
・装具とスキンケア用品を所持する。
・目的地までの交通手段や道順を考え、目的地での行動もシュミレーションしておく
です。いきなりというのは無謀ですし、装具は絶対コンビニでは購入できません。例え病院でもお使いの装具がすぐ出てくるとは限りません。
【外出先でのトイレについて】
外出先ではトイレに行かない方もおいでのようですが、それでは限られた範囲しか出かけることができません。
・通常の処理は普通のトイレで可能である。
・良く行く場所は使いやすいトイレの確認をしておく。
・多機能トイレ・オストメイト対応トイレを利用するのも便利である。
種類はいろいろありますが、荷物を置く広いスペース、洗浄用に温水が出る、汚物処理層があることが特徴です。この特別なトイレは若い年代の方が入りにくいと感じる場合も多いようですが、いざというときにためらわなくてすむように、"イザ"ではない、余裕のある時に偵察してみてはいかがでしょうか?このトイレは誰でも使って良いのですから!
【電車、バスの利用】
特に今まで通りで良いのですが、「立っている場合、座席の人の顔位置がくる・・」「混雑時にはストーマが押される・・・」など心配はあるものです。ということで座ればやはり安心です。できれば混雑している時間帯や場所を避けるのが良いでしょう。そうはいかないという場合は、シルバーシートや思いやりゾーンの利用も可能です。 でも外見上どう見ても元気そう!?これもトイレ同様抵抗があるかも知れませんが、 心臓のペースメーカーの方も利用しています!
【飛行機の利用】
気圧によりストーマ袋が膨張することは確かです。
・搭乗前に排泄物を破棄しておく
・ガス抜きフィルターを使用する
荷物の件ですが今は規制が結構ありますよね。はさみにも注意が必要です。
・機内に一式は持ち込む
・面板にストーマ孔を開けておく
ストーマカード(仮称)の携帯をお勧めします。術式、ストーマの種類・装具の名称、手術を受けた病院名などが記載されていると良いでしょう。海外旅行時は英字で記載しておきましょう。
【自動車の利用】
これはいわば個室空間ですから、そんなに気になりませんか?
シートベルトの着用については質問されることがあります。ストーマ造設の事象が証明できれば、違反行為にはなりません。ただし「安全には変えられない・・・」と私は思います。タオルなどをはさむあるいは、ストッパーを利用し一定以上に締らないようにする道具もあるそうです。
身体障害者福祉法で利用できる制度の紹介も載せておきます。
2.旅行について
旅行は日常生活から解放され、心も体もリラックスし、さまざまな効果をもたらすことでしょう。とはいえなかなか行かれないのが現状で、むしろ私がここで書くより皆さんの方が良くご存知かも知れません。特に海外事情は全くわかりません。ストーマの排泄処理にかかせないトイレのお国事情は驚くことも多いようです。一般的なことではありますが、
体力の回復に応じて、主治医と相談しながら計画的に復帰していくことが大切です。職場の人にストーマがあることを知らせた方が良いのでしょうか?
私は上司や親しい同僚、医務室、福利厚生担当など知らせておいた方が有利な相手にはストーマがあることを告げておくと良いと考えています。でもあくまでもケースバイケースです。基本的にはもとの仕事に戻ることがふさわしいのでしょうけれど、腹圧が過度にかかるとかトイレに長時間行かれない環境など、職種により調整が必要な場合もあります。また、手術を機に今までの仕事配分を見直すことも時には必要です。
4.スポーツについて
格闘技以外は可能と言われています。皆さん野球・サッカー・テニスなどなど・・・しておらます。スポーツの種類を問わず事前に袋内の排泄物は破棄しておいた方が無難です。その他注意点としてはやはり発汗に留意した装具管理をするということで、剥がれないようにベルトで固定したり、周囲をテープで補強する方もいます。水泳では、目立たないように入浴用装具の使用をする。あるいは面板溶解予防に周囲へのテープ貼付をしているようです。ダイビングをなさる方もおられるそうです。登山では気圧の上昇とごみの処理に留意が必要でしょう。
5.自宅外での入浴について
ストーマ造設術の説明をすると「もう温泉には行かれない」という言葉を実に良くお聞きします。それほど多くの人が温泉を好むのだろうなと実感!「病状が安定したら、行かれます」と答えるわけですが、ではどれくらいの方が入っているのだろうか?また入浴施設ではどう考えているのか?ということが長年の疑問でした。そこでアンケート調査を行いました。その結果を紹介します。
回答者は男性54名女性33名、平均年齢68.5歳、ストーマ造設年数は1年未満13名、1〜2年14名、2〜5年16名、5年以上が44名でした。
自宅外入浴の経験者は64名(74%)であり、そのうち家族風呂や貸切風呂など個室の風呂のみの利用は10名(12%)であり、54人(62%)のストーマ保有者が共同浴場を利用していました。
初回入浴時期は1年以内が64%を占めており、五年以上経過しての経験者は0.7%と少数でした。入浴場所は宿泊施設が50名(78%)と最も多く、銭湯6名(0.9%)公衆浴場(浴室以外に娯楽や飲食ができる所と定義、以下同様)4名(0.6%)でした。入浴後の感想は複数回答で「他人の視線が気になった」が多いものの、約60%が「自信がついた」、「心配だったがなんとかなった」と答えていました。自由記載では「他の人は意外に気にしていない」「気にしているのは自分だけのようだ」と記載されており、入るまでの葛藤はあったとしても一度経験をすると自信につながっている様子がうかがえました。入浴経験の無いストーマ保有者は23名(26%)であり、もともと習慣が無い場合と「傷やストーマを他の人に見られたくない」「他の人に迷惑をかけるのではないか心配である」という心情的な回答が多く、「入浴施設は利用できないと思っていた」という回答もありました。
次に入浴時の工夫について、項目別に記載していきます。
工夫の種類は使用物品に関するもの、浴室での過ごし方、時間帯調整、入浴前後の処置等に分類されました。
この結果をご覧になり温泉に行って見ようと思われたなら、準備を整えさあー出発です。話が長くなりましたけれど、ストーマを造設されてもあなたはあなたです。自信を持って生活していかれることを願っています。
≪外出≫
ここで言う外出とは、家を一歩外に出て、目的地に向かうすべての範囲を含みます。
気をつけたいことは、
・体力の回復に合わせて時間と距離を調整する。
・装具とスキンケア用品を所持する。
・目的地までの交通手段や道順を考え、目的地での行動もシュミレーションしておく
です。いきなりというのは無謀ですし、装具は絶対コンビニでは購入できません。例え病院でもお使いの装具がすぐ出てくるとは限りません。
【外出先でのトイレについて】
外出先ではトイレに行かない方もおいでのようですが、それでは限られた範囲しか出かけることができません。
・通常の処理は普通のトイレで可能である。
・良く行く場所は使いやすいトイレの確認をしておく。
・多機能トイレ・オストメイト対応トイレを利用するのも便利である。
・平成九年に千葉県習志野市役所から発祥 (公共施設、JR・地下鉄・私鉄各線の駅など)
種類はいろいろありますが、荷物を置く広いスペース、洗浄用に温水が出る、汚物処理層があることが特徴です。この特別なトイレは若い年代の方が入りにくいと感じる場合も多いようですが、いざというときにためらわなくてすむように、"イザ"ではない、余裕のある時に偵察してみてはいかがでしょうか?このトイレは誰でも使って良いのですから!
「オストメイトJP」
オストメイト対応トイレの場所や利用可能時間などを無料で検索できる参加型のサイト。
オストメイト対応トイレの場所や利用可能時間などを無料で検索できる参加型のサイト。
【電車、バスの利用】
特に今まで通りで良いのですが、「立っている場合、座席の人の顔位置がくる・・」「混雑時にはストーマが押される・・・」など心配はあるものです。ということで座ればやはり安心です。できれば混雑している時間帯や場所を避けるのが良いでしょう。そうはいかないという場合は、シルバーシートや思いやりゾーンの利用も可能です。 でも外見上どう見ても元気そう!?これもトイレ同様抵抗があるかも知れませんが、 心臓のペースメーカーの方も利用しています!
【飛行機の利用】
気圧によりストーマ袋が膨張することは確かです。
・搭乗前に排泄物を破棄しておく
・ガス抜きフィルターを使用する
荷物の件ですが今は規制が結構ありますよね。はさみにも注意が必要です。
・機内に一式は持ち込む
・面板にストーマ孔を開けておく
ストーマカード(仮称)の携帯をお勧めします。術式、ストーマの種類・装具の名称、手術を受けた病院名などが記載されていると良いでしょう。海外旅行時は英字で記載しておきましょう。
【自動車の利用】
これはいわば個室空間ですから、そんなに気になりませんか?
シートベルトの着用については質問されることがあります。ストーマ造設の事象が証明できれば、違反行為にはなりません。ただし「安全には変えられない・・・」と私は思います。タオルなどをはさむあるいは、ストッパーを利用し一定以上に締らないようにする道具もあるそうです。
身体障害者福祉法で利用できる制度の紹介も載せておきます。
<身体障害者手帳交付による援護措置>
種 類 | 1〜3級 | 4級 | |
交 通 運 賃 の 割 引 |
JR運賃 | 本人・同乗者全線5割引 本人のみ101km以上5割引 |
本人のみ101km以上5割引 |
急行券 | 5割引 | ||
同乗介護者 5割引 | |||
バ ス | 無料〜5割引 | ||
同乗介護者 無料〜5割引 |
|||
タクシー運賃 | ほとんど各社が1割引 | ||
航空運賃 | 37%引 | ||
有料道路 | 運転者5割引(市区役所が手帳に自動車登録番号を記載) | ||
同乗者でも5割引 | |||
駐車禁止除外 | 有り(警察署に届出) | 無し |
2.旅行について
旅行は日常生活から解放され、心も体もリラックスし、さまざまな効果をもたらすことでしょう。とはいえなかなか行かれないのが現状で、むしろ私がここで書くより皆さんの方が良くご存知かも知れません。特に海外事情は全くわかりません。ストーマの排泄処理にかかせないトイレのお国事情は驚くことも多いようです。一般的なことではありますが、
- かならず予備を多めに準備しておくことをお勧めします。様々な刺激を受け、体調が変化し、排泄にも影響が出ることも考慮しましょう。備えあれば憂いなしです。
- 無理のない計画を立てる。程度問題ですが欲張りすぎて、疲れて体調を崩しては困ります。
- バス・トイレ付の部屋を選ぶと何かと安心です。
- 寝ている間の安心のために防水シーツの持参もお勧めです。もし、寝具を汚してしまったら気まずく、失敗体験になり消極的になりがちです。
- 海外旅行では、術式や装具の名称を英語で記載したカードを所持する。(行き先の言語で書ければ尚良い)特にトイレ、水道 事情を調べておくと良いでしょう。トイレットペーパーをこんなにふんだんに使える国はそう多くは無いそうです。旅行先でも灌注排便法(洗腸)をする場合、水道から出るお湯を使うのは控えた方が安全です。ミネラルウオーターが安心です。
体力の回復に応じて、主治医と相談しながら計画的に復帰していくことが大切です。職場の人にストーマがあることを知らせた方が良いのでしょうか?
私は上司や親しい同僚、医務室、福利厚生担当など知らせておいた方が有利な相手にはストーマがあることを告げておくと良いと考えています。でもあくまでもケースバイケースです。基本的にはもとの仕事に戻ることがふさわしいのでしょうけれど、腹圧が過度にかかるとかトイレに長時間行かれない環境など、職種により調整が必要な場合もあります。また、手術を機に今までの仕事配分を見直すことも時には必要です。
4.スポーツについて
格闘技以外は可能と言われています。皆さん野球・サッカー・テニスなどなど・・・しておらます。スポーツの種類を問わず事前に袋内の排泄物は破棄しておいた方が無難です。その他注意点としてはやはり発汗に留意した装具管理をするということで、剥がれないようにベルトで固定したり、周囲をテープで補強する方もいます。水泳では、目立たないように入浴用装具の使用をする。あるいは面板溶解予防に周囲へのテープ貼付をしているようです。ダイビングをなさる方もおられるそうです。登山では気圧の上昇とごみの処理に留意が必要でしょう。
5.自宅外での入浴について
ストーマ造設術の説明をすると「もう温泉には行かれない」という言葉を実に良くお聞きします。それほど多くの人が温泉を好むのだろうなと実感!「病状が安定したら、行かれます」と答えるわけですが、ではどれくらいの方が入っているのだろうか?また入浴施設ではどう考えているのか?ということが長年の疑問でした。そこでアンケート調査を行いました。その結果を紹介します。
オストメイトの自宅外入浴の実態(オストメイトにお聞きしました)
アンケート対象:130名 (回収87名 67%)回答者は男性54名女性33名、平均年齢68.5歳、ストーマ造設年数は1年未満13名、1〜2年14名、2〜5年16名、5年以上が44名でした。
自宅外入浴の経験者は64名(74%)であり、そのうち家族風呂や貸切風呂など個室の風呂のみの利用は10名(12%)であり、54人(62%)のストーマ保有者が共同浴場を利用していました。
初回入浴時期は1年以内が64%を占めており、五年以上経過しての経験者は0.7%と少数でした。入浴場所は宿泊施設が50名(78%)と最も多く、銭湯6名(0.9%)公衆浴場(浴室以外に娯楽や飲食ができる所と定義、以下同様)4名(0.6%)でした。入浴後の感想は複数回答で「他人の視線が気になった」が多いものの、約60%が「自信がついた」、「心配だったがなんとかなった」と答えていました。自由記載では「他の人は意外に気にしていない」「気にしているのは自分だけのようだ」と記載されており、入るまでの葛藤はあったとしても一度経験をすると自信につながっている様子がうかがえました。入浴経験の無いストーマ保有者は23名(26%)であり、もともと習慣が無い場合と「傷やストーマを他の人に見られたくない」「他の人に迷惑をかけるのではないか心配である」という心情的な回答が多く、「入浴施設は利用できないと思っていた」という回答もありました。
次に入浴時の工夫について、項目別に記載していきます。
工夫の種類は使用物品に関するもの、浴室での過ごし方、時間帯調整、入浴前後の処置等に分類されました。
〈物品〉
入浴用装具、肌色の絆創膏、フィルムドレッシング、ガーゼ、模様や柄のあるタオルを使用する。加えて、タオルは必ず2枚使用し1枚は腹部に掛けておくと記してあった。タオルを縦に2枚縫い合わせ、しっかり結ぶという利用法もあった。また洗濯ばさみで通常の装具を折りたたむ方法、推奨はできないが石鹸箱のふたや腹帯、自家製の特殊装具利用という回答もあった。〈浴室での過し方〉
鏡に写らない位置に座る。具体的には左側ストーマの場合には左端に座る。移動時にはタオルで腹部を隠す、鏡の無い位置に座る、鏡の前に立たない、脱衣場では端を使用する、洗う時は腹部にタオルをかける。また湯船では手の平で押えるとの回答があった。浴槽に入る際に、後ろ向きに足から入り、しゃがみながら腹部を覆っていたタオルをはずすと良いと記載されていた。〈時間帯調整等〉
食後1〜2時間は避ける。その他、排泄物の少ない時間、入浴者の少ない食事時間や夜間・早朝などの時間を選ぶという回答があった。入浴の前後処置では袋内は空にしておく、入浴前に腹圧をかけて排便させる、浣腸や洗腸をしておく、食事や水分の制限をする、装具を貼り替えておくとの記載があった。浴室には着替えがスムーズな浴衣が適している、入浴後に装具の水分を拭くとの記載があった。下着に小さいタオルをはさむと袋の裏の水分が袋を濡らさないで済むという方法もある。また、入浴後は装具を注意して破棄するとの回答があった。その他、24時間入浴可能な宿を選ぶ。長湯はしないとの回答があった。この結果をご覧になり温泉に行って見ようと思われたなら、準備を整えさあー出発です。話が長くなりましたけれど、ストーマを造設されてもあなたはあなたです。自信を持って生活していかれることを願っています。
ストーマ造設前のように運動をしても大丈夫ですか?
Bouquet Staff
泳ぐときの装具の選び方、水着の工夫などを教えてください
梶原 睦子 (山梨県立大学 ETナース)
海やプールを楽しむための工夫
夏の楽しみの一つに海やプールがあります。楽しむための工夫のポイントは装具や水着の工夫と体調管理です。
1.装具の注意と工夫
まずは、なんといっても装具が剥がれないようにすることが大事です。皆様もよくご存知のように、装具には、毎日交換するもの、2〜3日くらいで交換するもの、4日〜5日くらいで交換するものがあります。これは保護剤の耐久性によるものです。まずはプールに行く日が決まったら、
・ご自分の装具はどのくらいの交換間隔でどのくらいの耐久性があるのか
・プールに行く日は装具交換してから何日目にあたるか
の2点を確認しましょう。毎日交換するものであれば問題ありませんが、比較的長期に交換するものの場合(2〜3日・4〜5日・それ以上)で、プールに行く日が交換日と重なるならば、すでに耐久性が弱まっているからです。このような場合は前日に交換してしまうほうが安心です。プールに入る直前に貼り替えればと思われるかも知れませんが、長期交換型装具に使用されている保護剤は貼った直後から24時間くらいで一番粘着力が強くなり、直後はまだそんなに強くありません。どうしても当日交換したいという場合でも、直前はさけ数時間くらい前には貼っておきたいものです。もしくはプールの間だけ1日〜2日くらいの短期交換型の単品系を貼るという方法もあります(帰りには、また貼り替える)。
二品系より単品系のほうが凹凸は少ないので、より体にフィットすることで目立ちにくいという利点もあり、選択の一つになり得ると思います。面板が、全面皮膚保護剤の場合は、面板周囲を粘着テープで貼りましょう。これにより固定が強化されるだけでなく皮膚保護剤断面の溶けを防ぐことが出来ます。粘着テープは防水性のあるものがお勧めです。ドラッグストアなどで防水作用のあるものを購入します。ビニールテープは、一見強そうにみえますが、いったん水につけると、ピロンとすぐに剥がれてしまいますので気をつけましょう。全面皮膚保護剤でなく、周囲にテープがついているタイプの面板であっても心配であれば、テープでの固定をしましょう。プールが終われば、テープは剥がしてもよいですが、濡れているよりも乾いてから剥がすほうが皮膚にかかる負担は少なくてすみます。
袋は、コロストミーの場合であれば、ミニパウチや、入浴用のものでも大丈夫な場合もありますが(ご自分の排便状態で決めましょう)、イレオストミーの場合は、予測外の排便も多いので閉鎖型、開放型を折りたたんで使用したほうが安心だと思います。その場合、パウチ内にティッシュ(もしくはナプキンや紙おむつのようなものを切って入れる、高分子吸収体の作用で、水分を閉じ込める働きがある)のようなものを入れておくことで、内容物の動きを避けることが出来ます。ウロストミーの場合で、ウロストミーバッグの排尿口がどうしてもころころして気になる場合、消化器用のパウチをつけて、中に前述のティッシュ・ナプキン・紙おむつのようなものを入れて何回か取り替えることで一時的にカバーするという方法もあります。ただし、消化器用には、逆流防止機構はないので、長時間は避けましょう。
2.水着のデザインに着目する
水着は、無地のものよりは、柄物のほうが、パウチのふくらみが目立ちません。細かい柄よりも、立体的な大きな柄のほうが効果的です。デザインもフレアの付いているもの、パレオ付のもの、Aラインのワンピース型のものなどを選ぶことでより目立たなくなり、楽しむことができるでしょう。まずは、おしゃれな水着売り場に行ってご自分の好みもあわせて、いろいろ検討してみましょう。ボーイッシュなデザインが好みで、あまりフリフリしたのは好まないという方は、競泳用のものはいかがでしょうか。最近は、競泳用でもぴちっとしたものではなく、セパレートタイプのものもあるようです。これだとTシャツを着ているようなので、目立ちません。しかし最近の装具は、単品系はもちろんのこと、二品系でも薄型になってきているので、水着を着けてみてもパウチのふくらみ自体思ったよりは気にならないものです。一度どのくらい目立つか自宅で確認してみましょう。意外とわからないっていうこともあります。男性の場合は、ボクサパンツ型か、トランクス型ですね。
3.あらかじめ体調を十分整えておきプールにいるときにも体温を管理する
体調を整えることも大事です。稀にですが、海やプールに入っている間にお腹が冷やされて、腹痛を起こしたり、下痢気味になったりすることがあります。まずは当日下痢を起こすことがないように体調を整えておき、当日プールや海にいる間でも冷たい水に長時間つからず、時々あがって休みましょう。休みの間にトイレで装具が大丈夫か確認してもよいでしょう。
また冷たすぎる飲み物も避けましょう(また泳ぎに夢中になってプールの水をたくさん飲まないように気をつけてくださいね)。プールの水温は、公共の場合ですと温水でないプールは20〜30℃くらいです。室内プールであれば室温が一定に保たれていますが、室外プールの場合はかなり気温の影響を受けますし、水を足しながらプールを開放している場合などは、水道の水は18℃くらいなので水の出口付近はかなり冷たくなります。温水プールの場合水温は約27〜30℃で、温泉スパのような施設に併設されている場合はもう少し高いかもしれません。体を冷やさないという意味では、室内温水プールに出かけるのもよいかと思います。保護剤はお湯で溶けるといいますが、プール程度の温度であれば、前述の装具の注意をされていれば、水泳中に溶け出して剥がれるということはまずありません。水泳は重労働のような印象があり、装具が剥がれるのではないかと心配される方もいますが、バタ足やバタフライの足は、基本的に歩いている以上の動きはありませんので安心してください。
まずは、なんといっても装具が剥がれないようにすることが大事です。皆様もよくご存知のように、装具には、毎日交換するもの、2〜3日くらいで交換するもの、4日〜5日くらいで交換するものがあります。これは保護剤の耐久性によるものです。まずはプールに行く日が決まったら、
・ご自分の装具はどのくらいの交換間隔でどのくらいの耐久性があるのか
・プールに行く日は装具交換してから何日目にあたるか
の2点を確認しましょう。毎日交換するものであれば問題ありませんが、比較的長期に交換するものの場合(2〜3日・4〜5日・それ以上)で、プールに行く日が交換日と重なるならば、すでに耐久性が弱まっているからです。このような場合は前日に交換してしまうほうが安心です。プールに入る直前に貼り替えればと思われるかも知れませんが、長期交換型装具に使用されている保護剤は貼った直後から24時間くらいで一番粘着力が強くなり、直後はまだそんなに強くありません。どうしても当日交換したいという場合でも、直前はさけ数時間くらい前には貼っておきたいものです。もしくはプールの間だけ1日〜2日くらいの短期交換型の単品系を貼るという方法もあります(帰りには、また貼り替える)。
二品系より単品系のほうが凹凸は少ないので、より体にフィットすることで目立ちにくいという利点もあり、選択の一つになり得ると思います。面板が、全面皮膚保護剤の場合は、面板周囲を粘着テープで貼りましょう。これにより固定が強化されるだけでなく皮膚保護剤断面の溶けを防ぐことが出来ます。粘着テープは防水性のあるものがお勧めです。ドラッグストアなどで防水作用のあるものを購入します。ビニールテープは、一見強そうにみえますが、いったん水につけると、ピロンとすぐに剥がれてしまいますので気をつけましょう。全面皮膚保護剤でなく、周囲にテープがついているタイプの面板であっても心配であれば、テープでの固定をしましょう。プールが終われば、テープは剥がしてもよいですが、濡れているよりも乾いてから剥がすほうが皮膚にかかる負担は少なくてすみます。
袋は、コロストミーの場合であれば、ミニパウチや、入浴用のものでも大丈夫な場合もありますが(ご自分の排便状態で決めましょう)、イレオストミーの場合は、予測外の排便も多いので閉鎖型、開放型を折りたたんで使用したほうが安心だと思います。その場合、パウチ内にティッシュ(もしくはナプキンや紙おむつのようなものを切って入れる、高分子吸収体の作用で、水分を閉じ込める働きがある)のようなものを入れておくことで、内容物の動きを避けることが出来ます。ウロストミーの場合で、ウロストミーバッグの排尿口がどうしてもころころして気になる場合、消化器用のパウチをつけて、中に前述のティッシュ・ナプキン・紙おむつのようなものを入れて何回か取り替えることで一時的にカバーするという方法もあります。ただし、消化器用には、逆流防止機構はないので、長時間は避けましょう。
2.水着のデザインに着目する
水着は、無地のものよりは、柄物のほうが、パウチのふくらみが目立ちません。細かい柄よりも、立体的な大きな柄のほうが効果的です。デザインもフレアの付いているもの、パレオ付のもの、Aラインのワンピース型のものなどを選ぶことでより目立たなくなり、楽しむことができるでしょう。まずは、おしゃれな水着売り場に行ってご自分の好みもあわせて、いろいろ検討してみましょう。ボーイッシュなデザインが好みで、あまりフリフリしたのは好まないという方は、競泳用のものはいかがでしょうか。最近は、競泳用でもぴちっとしたものではなく、セパレートタイプのものもあるようです。これだとTシャツを着ているようなので、目立ちません。しかし最近の装具は、単品系はもちろんのこと、二品系でも薄型になってきているので、水着を着けてみてもパウチのふくらみ自体思ったよりは気にならないものです。一度どのくらい目立つか自宅で確認してみましょう。意外とわからないっていうこともあります。男性の場合は、ボクサパンツ型か、トランクス型ですね。
3.あらかじめ体調を十分整えておきプールにいるときにも体温を管理する
体調を整えることも大事です。稀にですが、海やプールに入っている間にお腹が冷やされて、腹痛を起こしたり、下痢気味になったりすることがあります。まずは当日下痢を起こすことがないように体調を整えておき、当日プールや海にいる間でも冷たい水に長時間つからず、時々あがって休みましょう。休みの間にトイレで装具が大丈夫か確認してもよいでしょう。
また冷たすぎる飲み物も避けましょう(また泳ぎに夢中になってプールの水をたくさん飲まないように気をつけてくださいね)。プールの水温は、公共の場合ですと温水でないプールは20〜30℃くらいです。室内プールであれば室温が一定に保たれていますが、室外プールの場合はかなり気温の影響を受けますし、水を足しながらプールを開放している場合などは、水道の水は18℃くらいなので水の出口付近はかなり冷たくなります。温水プールの場合水温は約27〜30℃で、温泉スパのような施設に併設されている場合はもう少し高いかもしれません。体を冷やさないという意味では、室内温水プールに出かけるのもよいかと思います。保護剤はお湯で溶けるといいますが、プール程度の温度であれば、前述の装具の注意をされていれば、水泳中に溶け出して剥がれるということはまずありません。水泳は重労働のような印象があり、装具が剥がれるのではないかと心配される方もいますが、バタ足やバタフライの足は、基本的に歩いている以上の動きはありませんので安心してください。
ストーマ造設前と同じ服を着ることはできますか?
Bouquet Staff
基本的に術前と同じ服を着ることができます。
・チュニックは、排泄物やガスなどで膨らんだパウチが隠せるし、かわいくておしゃれ
・ギャザースカートなどふんわりしたスカートを着用
・ジーンズやガードルはマタニティ用を選ぶ
・ストッキングは装具を出す穴を開ける(ほつれ防止はマニュキュアで)
・ワンピース型の装具を使っているので、体にフィットする服を着ても目立たない
など、ブーケ会員それぞれ工夫しておしゃれを楽しんでいます。
・チュニックは、排泄物やガスなどで膨らんだパウチが隠せるし、かわいくておしゃれ
・ギャザースカートなどふんわりしたスカートを着用
・ジーンズやガードルはマタニティ用を選ぶ
・ストッキングは装具を出す穴を開ける(ほつれ防止はマニュキュアで)
・ワンピース型の装具を使っているので、体にフィットする服を着ても目立たない
など、ブーケ会員それぞれ工夫しておしゃれを楽しんでいます。
着物を着ることはできますか?
Bouquet Staff
着物を着ることも可能です。着付けをしてもらうとき、ストーマのことを相手に伝えて、帯がストーマの位置にかからないように高めにしてもらう、緩めにつけてもらう、お腹にタオルなどを巻く、など少しの工夫で、着ることができます。
ガードルをつけても大丈夫ですか?
川村 三代 (神戸掖済会病院 皮膚・排泄ケア認定看護師)
ストーマを持続的に圧迫すると血流障害が起こり、粘膜も傷つきやすくなります。また、ストーマ装具のプラスチックの部分を強く皮膚に押しつけることになり、ストーマ周囲の皮膚トラブルの原因にもなります。ハードやミディアムのガードルで長時間圧迫することは避けた方が良いでしよう。ソフトガードルでも必要以上にきついものを使用しない、短時間の着用にする等の注意が必要です。使用する場合は、ストーマの当たる位置に穴を開けて着用すると良いでしょう。(穴の周りがほつれないよう補強を忘れずに。)
ストーマ造設前の仕事に復帰したいのですが大丈夫でしょうか。
Bouquet Staff
体力が回復すれば仕事に復帰できます。重いものを持たなければいけない仕事や、重労働だったりする場合は、医師に相談して復帰の時期を決めるとよいでしょう。
また、万が一、漏れなどのトラブルが起こった時などのために、装具一式を携帯する、職場に一式置いておく、などしておきましょう。通勤途中のトイレの場所もチェックしておくと、いざというとき役立ちます。
(参照 外出時のヒント 仕事について)
また、万が一、漏れなどのトラブルが起こった時などのために、装具一式を携帯する、職場に一式置いておく、などしておきましょう。通勤途中のトイレの場所もチェックしておくと、いざというとき役立ちます。
(参照 外出時のヒント 仕事について)
ストーマに関すること
腸閉塞が心配です。
太田 昌資 (太田クリニック 院長)
腸閉塞について
腸閉塞(イレウス)とは、いろんな原因によって腸の流れが悪くなり内容物が詰まった状態を言います。麻痺性や炎症性腸閉塞などがありますが、皆さんのようにお腹の手術をされている場合、腸管癒着症が最も多い原因でしょう。症状として、お腹が張ってきて下腹部の不快感や、身体の向きにより軽減する痛みから始まることが多いようです。徐々に痛みが広がり嘔気・嘔吐も出現します。時には動悸や倦怠感も伴うこともあります。
腸管癒着症は、手術でお腹の中を触ることにより腸の表面に小さな傷がついたり、細菌感染などで腸同士が引っ付いてしまうことを言います。本来自由な腸管の動きが制限されることで、食べ過ぎたり・お腹を冷やすなど腸ぜん動(食物を送る腸の細かな動き)が急に変化した時、腸が捻れたり折り曲がったりして内容物が詰まりやすくなります。
腸管癒着は、術後1年以内が最も強くその後やや緩和されますが、完全に取れることはないでしょう。ですから術後数年間は腸閉塞の発症の頻度が高く、年月がたつにつれ徐々に間隔が開いてくるのですが、何年たっても危険率がゼロになることはなく"災害は忘れたころに起こる"なんてことになりかねません。
治療は軽症なら絶食と安静で治ってしまうこともありますが、ある程度の腸閉塞には鼻から管を詰まっている部位まで入れ、内容物を吸引排泄させることで腸の捻れなどを解除させます。4、5日で改善しないようなら手術の出番ですが、腸管癒着症の手術でまたまた癒着、しかももっとひどく癒着しかねません。それ故、皆様同様に外科医は腸管癒着症の手術を嫌がります。
最近では、ある種の漢方薬を管から注入すると改善効果が上がるとの報告もあります。また、手術のときに使う癒着防止薬や防止シートなどの工夫も行なわれていますが、まだまだ今後の課題でしょう。
予防には、規則正しい生活、規則的な排便が大原則です。また、お腹だけではなく下半身全体を冷やさないようにしましょう。足が冷えると、冷たい血液がお腹を通って心臓に還っていき腹部を冷やしてしまいます。食べ過ぎや過度の疲労も避けましょう。"腹も身のうち"疲れているときは、腸の働きも弱っています。消化の良いものを取るように心がけてください。薬では、漢方の"大健中湯"が腸閉塞の予防に効果があるとのデータもあります。
食べ物では海藻類、糸こんにゃくの塊、バリウムで腸閉塞になり手術をしたことがあります。特にイレオストミーの場合、小腸のぜん動運動力は弱く、わかめ一枚で腸閉塞になったこともありました。原形を残して排泄される食べ物は、なるべく細かく刻みましょう。
腸閉塞は油断できませんが、過度に心配するのも良くありません。腸は神経に過敏な臓器です。腸やストーマに気持ちが集中しすぎると、腸ぜん動が返って不規則になりますよ。
腸管癒着症は、手術でお腹の中を触ることにより腸の表面に小さな傷がついたり、細菌感染などで腸同士が引っ付いてしまうことを言います。本来自由な腸管の動きが制限されることで、食べ過ぎたり・お腹を冷やすなど腸ぜん動(食物を送る腸の細かな動き)が急に変化した時、腸が捻れたり折り曲がったりして内容物が詰まりやすくなります。
腸管癒着は、術後1年以内が最も強くその後やや緩和されますが、完全に取れることはないでしょう。ですから術後数年間は腸閉塞の発症の頻度が高く、年月がたつにつれ徐々に間隔が開いてくるのですが、何年たっても危険率がゼロになることはなく"災害は忘れたころに起こる"なんてことになりかねません。
治療は軽症なら絶食と安静で治ってしまうこともありますが、ある程度の腸閉塞には鼻から管を詰まっている部位まで入れ、内容物を吸引排泄させることで腸の捻れなどを解除させます。4、5日で改善しないようなら手術の出番ですが、腸管癒着症の手術でまたまた癒着、しかももっとひどく癒着しかねません。それ故、皆様同様に外科医は腸管癒着症の手術を嫌がります。
最近では、ある種の漢方薬を管から注入すると改善効果が上がるとの報告もあります。また、手術のときに使う癒着防止薬や防止シートなどの工夫も行なわれていますが、まだまだ今後の課題でしょう。
予防には、規則正しい生活、規則的な排便が大原則です。また、お腹だけではなく下半身全体を冷やさないようにしましょう。足が冷えると、冷たい血液がお腹を通って心臓に還っていき腹部を冷やしてしまいます。食べ過ぎや過度の疲労も避けましょう。"腹も身のうち"疲れているときは、腸の働きも弱っています。消化の良いものを取るように心がけてください。薬では、漢方の"大健中湯"が腸閉塞の予防に効果があるとのデータもあります。
食べ物では海藻類、糸こんにゃくの塊、バリウムで腸閉塞になり手術をしたことがあります。特にイレオストミーの場合、小腸のぜん動運動力は弱く、わかめ一枚で腸閉塞になったこともありました。原形を残して排泄される食べ物は、なるべく細かく刻みましょう。
腸閉塞は油断できませんが、過度に心配するのも良くありません。腸は神経に過敏な臓器です。腸やストーマに気持ちが集中しすぎると、腸ぜん動が返って不規則になりますよ。
下痢になるとかぶれや漏れが心配です。対策教えてください。
梶原 睦子 (山梨県立大学 ETナース)
下痢の予防や対処について
皆様の中には、手術をする前よりも便の性状や量に対して敏感になったという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、下痢について知っていただき、日常生活でできる予防についてお話します。
1.下痢とは
下痢とは、小腸と大腸で起こり、便に含まれる水分の量が多い場合を言います。おおよそ80〜90%で柔らかめの便、90%以上で水様便となります。一般的に急性と慢性の下痢に分けられます。急性の下痢とは、突然に始まり、長くとも1〜2週間で治まるものです。ここでは、急性の下痢を中心にお話します。急性の下痢には感染によって起こるものとそうでないものがあります。
- 感染性の下痢は、食中毒や風邪のウイルスが原因です。腸の粘膜に炎症が起きて、腸粘膜からの分泌物や水分が大量に分泌されて便の水分量が多くなって下痢が起こります。
- 感染性でない下痢には、小腸での吸収が十分でない時や大腸の蠕動運動が早すぎて水分の吸収が追いつかない時起こります。これらは主に消化不良やアレルギーなどが原因ですが、冷たいものをとり過ぎてしまった時や寝冷えなどが原因になることもあります。
2.下痢の種類と予防
1)感染性の下痢:細菌によって起こる下痢
1)感染性の下痢:細菌によって起こる下痢
まず、急性の下痢で多いのが、食中毒や細菌感染によって起こるものです。この場合は発熱や腹痛、吐き気なども伴うことがあります。細菌感染というと思い浮かぶのはО157やロタウイルスなどですが、それ以外の細菌でも知らず知らずのうちに感染してしまうことがあります。感染性の下痢の原因となった食べ物を調べたお医者さんの報告では、お寿司、えび・かになどのサラダ、岩牡蠣、刺身、レバ刺し、マグロのぶつ切り、などが多かったということです。いわゆる生ものですね。これらは毎日食べるものでもないですが、食べる時には鮮度や量にはくれぐれも注意してください。調理の時にもよく手を洗いましょう。特に夏場は食べ物も痛みやすいですし、疲れたり体力が落ちているときには特に気をつけて加熱するようにしましょう。
また、食中毒でなく風邪でも同じように細菌性の下痢を起こすことがあります。いわゆる「風邪がおなかにきた」というような場合で、これは風邪のウイルスが腸に炎症を起こすことで腸の蠕動運動や腸からの水分分泌(炎症をおこした部分には滲出液という水分がでます)が亢進された結果で下痢になるのです。風邪がはやっているときには、人ごみにいかない、帰宅したらうがいし手を洗うなどして風邪を積極的に予防しましょう。
また、食中毒でなく風邪でも同じように細菌性の下痢を起こすことがあります。いわゆる「風邪がおなかにきた」というような場合で、これは風邪のウイルスが腸に炎症を起こすことで腸の蠕動運動や腸からの水分分泌(炎症をおこした部分には滲出液という水分がでます)が亢進された結果で下痢になるのです。風邪がはやっているときには、人ごみにいかない、帰宅したらうがいし手を洗うなどして風邪を積極的に予防しましょう。
2)感染性でない下痢:消化不良やアレルギーなどによる下痢
これは、(1)消化が悪いものを多く食べたり、(2)下痢をしやすい食品を食べたりした場合などに起こります。
(1)消化が悪い食物の代表的なもの
海藻、きのこ、こんにゃく、貝類、ナッツ類などですが、イレオストミーの方であれば、小腸の閉塞を起こしやすい(小腸は内腔が狭いのでつまりやすく、つまることをフードブロッケージと言います)という理由で、すでに控えている方は多いと思います。またコロストミーの方でも腸閉塞の予防という意味から、気をつけている方は多いかも知れません。これらは絶対食べていけないということではなく、よく噛んで、食べ物を細かくし量を多くしなければ大丈夫です。
(2)下痢をしやすい食品としてよく紹介されているもの
冷たい飲料水、アイスクリーム、牛乳、油の多いものなどがあります。冷たすぎるものを食べると下痢するのは、腸内の温度が下がることで消化酵素の働きが弱るからです。(消化酵素とは消化を助ける物質)この酵素が働くのは体温が36.5度くらいの時なので、おなかが冷えて35度くらいになってしまうと腸の消化酵素の働きがにぶり吸収されなくなります。そうなると食べ物が腐ってしまうので体がこれを早く出そうとして、下痢になるのです。寝冷えで下痢をするのも同じ理由です。アイスクリームは冷たいうえに脂肪が含まれています(最近は低脂肪のものもありますが)。脂肪が多い食べ物は、腸の中を通る速度が速くなり、十分に吸収されないうちに排泄されるので下痢になりやすくなるのです。
回腸末端(小腸から大腸につながる部分)は、脂肪の吸収を助ける胆汁酸を再び吸収するところなので、ここを切除した場合は、脂肪の消化吸収能が通常よりも弱くなる結果で下痢しやすい傾向になります。特にイレオストミーの方で、脂肪を取り過ぎに気をつけるように言われている方は、てんぷら、フライ、油が多く含まれるスナック菓子などを多く食べ過ぎないようにしましょう。これ以外に乳糖不耐症といって冷たい牛乳を飲むと下痢をする場合や、特定の食品でアレルギーをおこして下痢をする場合もあります。アレルギーを起こしやすい食物として、卵、エビ、カニ、ソバ、まめなどがありますが、個人差がありますので、自分が下痢をしやすい食物をあらかじめ知っておき、避けることも大事でしょう。また、お酒によっても下痢をすることがありますので、飲む方は体と相談しながら飲みましょう。このほか、肺炎や風邪などのときに処方される抗生物質によって、通常いる腸内細菌が乱れることで下痢になることもあるので知っておきましょう。そういう場合は抗生物質をやめると治ります。
(1)消化が悪い食物の代表的なもの
海藻、きのこ、こんにゃく、貝類、ナッツ類などですが、イレオストミーの方であれば、小腸の閉塞を起こしやすい(小腸は内腔が狭いのでつまりやすく、つまることをフードブロッケージと言います)という理由で、すでに控えている方は多いと思います。またコロストミーの方でも腸閉塞の予防という意味から、気をつけている方は多いかも知れません。これらは絶対食べていけないということではなく、よく噛んで、食べ物を細かくし量を多くしなければ大丈夫です。
(2)下痢をしやすい食品としてよく紹介されているもの
冷たい飲料水、アイスクリーム、牛乳、油の多いものなどがあります。冷たすぎるものを食べると下痢するのは、腸内の温度が下がることで消化酵素の働きが弱るからです。(消化酵素とは消化を助ける物質)この酵素が働くのは体温が36.5度くらいの時なので、おなかが冷えて35度くらいになってしまうと腸の消化酵素の働きがにぶり吸収されなくなります。そうなると食べ物が腐ってしまうので体がこれを早く出そうとして、下痢になるのです。寝冷えで下痢をするのも同じ理由です。アイスクリームは冷たいうえに脂肪が含まれています(最近は低脂肪のものもありますが)。脂肪が多い食べ物は、腸の中を通る速度が速くなり、十分に吸収されないうちに排泄されるので下痢になりやすくなるのです。
回腸末端(小腸から大腸につながる部分)は、脂肪の吸収を助ける胆汁酸を再び吸収するところなので、ここを切除した場合は、脂肪の消化吸収能が通常よりも弱くなる結果で下痢しやすい傾向になります。特にイレオストミーの方で、脂肪を取り過ぎに気をつけるように言われている方は、てんぷら、フライ、油が多く含まれるスナック菓子などを多く食べ過ぎないようにしましょう。これ以外に乳糖不耐症といって冷たい牛乳を飲むと下痢をする場合や、特定の食品でアレルギーをおこして下痢をする場合もあります。アレルギーを起こしやすい食物として、卵、エビ、カニ、ソバ、まめなどがありますが、個人差がありますので、自分が下痢をしやすい食物をあらかじめ知っておき、避けることも大事でしょう。また、お酒によっても下痢をすることがありますので、飲む方は体と相談しながら飲みましょう。このほか、肺炎や風邪などのときに処方される抗生物質によって、通常いる腸内細菌が乱れることで下痢になることもあるので知っておきましょう。そういう場合は抗生物質をやめると治ります。
3.下痢の対処
1)脱水予防
1)脱水予防
下痢がひどく発熱、嘔吐、腹痛などがある場合は、感染性の下痢が考えられるので、すぐに受診しましょう。また便に血液が混じっているような場合も受診しましょう。感染ではなく、消化不良などによる下痢では、原則的には、おなかを温め、食事をとらないか、控えるようにして水分を十分に摂取していけば少しずつ治っていきます。特にイレオストミーの方は脱水になりやすいので、十分な水分補給を心がけましょう。水分をとるとよけいに下痢がひどくなるのではないかと思って制限してしまう方がいますが、そんなことはありません。温かいお白湯や紅茶、お茶などを少しずつでも飲むようにしましょう。スポーツドリンクなどは、電解質の補給にもなるのでおすすめします。この場合は室温程度の温度にしましょう。吐き気がひどくて水も飲めないという場合は、病院で点滴してもらいましょう。
下痢止めを飲むのも1つの方法ですが、下痢は、体の中に入った、体にとっての有害なものを出すという働きをすることで体を守ってくれているのですから、ひどい脱水にならなければ、無理に止めようとすることはありません。症状が治まってきたら、お粥など消化のよいものから始めましょう。便を固める方法として、りんごのペクチンを食べる方法があります。りんごには、水溶性の食物繊維であるペクチンが多く、腸管内の液体を吸収して下痢を沈静化させやすいという特質があります。アップルソースなどを買ってきて、牛乳成分や脂肪の少ないクラッカーにソースをつけて食べたりしてもよいでしょう。また最近では、健康食品として粉状になったアップルペクチンなども入手することができます。
下痢止めを飲むのも1つの方法ですが、下痢は、体の中に入った、体にとっての有害なものを出すという働きをすることで体を守ってくれているのですから、ひどい脱水にならなければ、無理に止めようとすることはありません。症状が治まってきたら、お粥など消化のよいものから始めましょう。便を固める方法として、りんごのペクチンを食べる方法があります。りんごには、水溶性の食物繊維であるペクチンが多く、腸管内の液体を吸収して下痢を沈静化させやすいという特質があります。アップルソースなどを買ってきて、牛乳成分や脂肪の少ないクラッカーにソースをつけて食べたりしてもよいでしょう。また最近では、健康食品として粉状になったアップルペクチンなども入手することができます。
2)ストーマケア
下痢をすると、
(1)皮膚保護剤が溶けやすいので皮膚がただれやすい
(2)ストーマ袋がすぐにいっぱいになる
などで下痢でないときとくらべるとケアが大変になりますね。そんなときの工夫を考えてみましょう。
(1)皮膚保護剤が溶けやすいとき
ストーマ装具の面板についている皮膚保護剤は、便の水分を吸収し、消化液の刺激から皮膚を保護してくれますが、下痢によって保護剤の吸収能よりも水分量が多い場合、溶けたり膨潤(面板の保護剤がふやけて白くふくらむこと)したりするスピードが速くなり、保護剤の機能が通常よりも早く飽和してしまいます。一方水様便になるほど、アルカリ性の消化液や消化酵素が皮膚につきやすいので、皮膚障害が起こりやすくなります。イレオストミーの方は、もともと水分の多い便が排泄されますが、下痢をすると、通常よりも量は多くなると思います。
対策として、
i )ストーマ装具の交換間隔を1日くらい早めにする、
ii)ストーマに近い部分の保護剤を強化する
などがあります。下痢した時はまず1日交換を早めにし、剥した面板の裏を必ず観察しましょう。すでに数ミリ以上溶けていれば、交換する時期というように考え、下痢の間は早めの交換をこころがけましょう。
ストーマに近い部分の強化には、リング状の保護剤を用いると便利です。コロプラストリング(コロプラスト)、アダプト皮膚保護シール(ホリスター)、イーキンシール(コンバテック)、プロケアリング(アルケア)などがあります。面板のストーマ孔にあわせて、重ねて置き段差がなくなるよう手でなじませるようにします。
これはイレオストミーの方にお聞きしたことですが、リングをストーマ孔の内側に少し織り込むようにすると効果的だそうです。ストーマ孔とストーマとストーマ孔の隙間にパウダーやペーストを使用して埋めるようにするとより安心です。また下痢のときは腸粘膜がむくんでいる場合がありますので、ストーマ孔の大きさに気をつけてストーマを傷つけないようにやさしく扱いましょう。
(2)ストーマ袋がすぐにいっぱいになるとき
ストーマ袋がすぐにたくさんになって大変だという場合は、大きめの袋にすることも1つの方法でしょう。一般的にイレオストミー用の製品に大きめのストーマ袋や便の排泄口がチューブ式になっていて水様便が排泄しやすいようになっているものがあるので、今お使いのメーカーのカタログがあればご覧になってください。水様便を固めたいという場合、ゲル状にする製剤がありストーマ袋のなかでチャポチャポ動くのを防ぐことができます。シェルターゲル(村中医療器)、Aキャッチ(エイパック)という商品です。
(1)皮膚保護剤が溶けやすいので皮膚がただれやすい
(2)ストーマ袋がすぐにいっぱいになる
などで下痢でないときとくらべるとケアが大変になりますね。そんなときの工夫を考えてみましょう。
(1)皮膚保護剤が溶けやすいとき
ストーマ装具の面板についている皮膚保護剤は、便の水分を吸収し、消化液の刺激から皮膚を保護してくれますが、下痢によって保護剤の吸収能よりも水分量が多い場合、溶けたり膨潤(面板の保護剤がふやけて白くふくらむこと)したりするスピードが速くなり、保護剤の機能が通常よりも早く飽和してしまいます。一方水様便になるほど、アルカリ性の消化液や消化酵素が皮膚につきやすいので、皮膚障害が起こりやすくなります。イレオストミーの方は、もともと水分の多い便が排泄されますが、下痢をすると、通常よりも量は多くなると思います。
対策として、
i )ストーマ装具の交換間隔を1日くらい早めにする、
ii)ストーマに近い部分の保護剤を強化する
などがあります。下痢した時はまず1日交換を早めにし、剥した面板の裏を必ず観察しましょう。すでに数ミリ以上溶けていれば、交換する時期というように考え、下痢の間は早めの交換をこころがけましょう。
ストーマに近い部分の強化には、リング状の保護剤を用いると便利です。コロプラストリング(コロプラスト)、アダプト皮膚保護シール(ホリスター)、イーキンシール(コンバテック)、プロケアリング(アルケア)などがあります。面板のストーマ孔にあわせて、重ねて置き段差がなくなるよう手でなじませるようにします。
これはイレオストミーの方にお聞きしたことですが、リングをストーマ孔の内側に少し織り込むようにすると効果的だそうです。ストーマ孔とストーマとストーマ孔の隙間にパウダーやペーストを使用して埋めるようにするとより安心です。また下痢のときは腸粘膜がむくんでいる場合がありますので、ストーマ孔の大きさに気をつけてストーマを傷つけないようにやさしく扱いましょう。
(2)ストーマ袋がすぐにいっぱいになるとき
ストーマ袋がすぐにたくさんになって大変だという場合は、大きめの袋にすることも1つの方法でしょう。一般的にイレオストミー用の製品に大きめのストーマ袋や便の排泄口がチューブ式になっていて水様便が排泄しやすいようになっているものがあるので、今お使いのメーカーのカタログがあればご覧になってください。水様便を固めたいという場合、ゲル状にする製剤がありストーマ袋のなかでチャポチャポ動くのを防ぐことができます。シェルターゲル(村中医療器)、Aキャッチ(エイパック)という商品です。
ストーマを造設して半年です。においがとても気になります。
梶原 睦子 (山梨県立大学 ETナース)
術後1年くらいまでは、初めて経験されるできごとも多いのでいろいろ驚いたり不安な思いをされたりすることも多いですよね。さて、においが気になるということですが、現在市販されているストーマ装具のほとんどのものは、防臭加工がされているので、適正な使用方法や使用期間を守っている限り、においが外に出るということはないと考えて大丈夫です。もしにおいが漏れるとすれば、
などのことが考えられます。
(1)については、例えば、二品型であれば、フランジと袋部分の勘合部分(嵌め合わせるところ)や袋の裾部分に排泄物がついていないようにします。処理をするときにきちんとふき取りましょう。
(2)の排泄物の漏れでは、装具の交換の時に裏を見て、排泄物がもぐりこんでいないかを確認してみてください。面板の外側には染み出ていなくても、中の部分にでももぐりこみがあると、そこから隙間ができて外につながってにおいが漏れている場合もあります。
(3)は通常の使用日数を守っていれば大丈夫です。できれば袋は使い捨てにしましょう。
(4)は直接排泄物のにおいではありませんが、装具を貼ったままですと周辺部分が洗いにくくなるので、そこに汗や体の汚れがついて、においとして感じられることがあります。
以上のような場合に、においが漏れることがありますが、このような場合であっても自分で感じているにおいが同じように他人に伝わるものでは決してありません。通常人間には対人距離というものがあり、近い場合でも1メートルくらいの距離は自然に保っているので、自分では、直接服の中を通してにおいがあがってくるために感じられる場合でも、同様に他人が感じることはまずありません。多くのオストメイトの方がどう対処しているかについて、私がオストメイトの方に直接アンケートで聞いた結果では、特殊な処置をとっている方はあまりいませんでした。
などの通常の対処をされている方がほとんどでした。
しかしこれらのことでは不安で、特別な対処をしたい場合は、消臭剤を上手に使うこともポイントです。袋の中に入れておくものや、交換時に部屋に撒くものなどがあります。
またパウチカバーを使用したり、食べ物による調整などをしたりしてもよいでしょう。一般に肉、卵などたんぱく質が多い、にんにくやねぎ、にらなどにおいの強いものは便臭を強くすることがあります。しかし食べ物の調整は常に行う必要はなく、特別な場合で大丈夫です。"明日は人に会うからにんにくは控えよう"などと私たちが通常考えるのと同じように考えましょう。また、ストーマのタイプによって制限はありますが、灌注排便法(洗腸)をとる、クローズタイプの一回ごと使い捨ての装具を使用するなどの方法もあります。一般に原則さえきちんと守っていれば、心配するには及びません。トイレでの排泄時では、もちろんストーマを持っていない人でもにおうものです。あまり神経質にならず、どうか少しずつ自信を取り戻して行ってくださることを心から望んでおります。
(1) 装具の外側部分に排泄物がついている
(2) 排泄物が漏れている
(3) 装具を古くなるまで使っている(袋自身が摩耗し、フィルターの吸収能力がなくなるためです)
(4) 装具周囲に汗などがついていて体臭がする
(2) 排泄物が漏れている
(3) 装具を古くなるまで使っている(袋自身が摩耗し、フィルターの吸収能力がなくなるためです)
(4) 装具周囲に汗などがついていて体臭がする
などのことが考えられます。
(1)については、例えば、二品型であれば、フランジと袋部分の勘合部分(嵌め合わせるところ)や袋の裾部分に排泄物がついていないようにします。処理をするときにきちんとふき取りましょう。
(2)の排泄物の漏れでは、装具の交換の時に裏を見て、排泄物がもぐりこんでいないかを確認してみてください。面板の外側には染み出ていなくても、中の部分にでももぐりこみがあると、そこから隙間ができて外につながってにおいが漏れている場合もあります。
(3)は通常の使用日数を守っていれば大丈夫です。できれば袋は使い捨てにしましょう。
(4)は直接排泄物のにおいではありませんが、装具を貼ったままですと周辺部分が洗いにくくなるので、そこに汗や体の汚れがついて、においとして感じられることがあります。
以上のような場合に、においが漏れることがありますが、このような場合であっても自分で感じているにおいが同じように他人に伝わるものでは決してありません。通常人間には対人距離というものがあり、近い場合でも1メートルくらいの距離は自然に保っているので、自分では、直接服の中を通してにおいがあがってくるために感じられる場合でも、同様に他人が感じることはまずありません。多くのオストメイトの方がどう対処しているかについて、私がオストメイトの方に直接アンケートで聞いた結果では、特殊な処置をとっている方はあまりいませんでした。
・排泄物はいつまでも貯めておかず、適当な量で排出させる。
・毎晩シャワーや入浴で全身をきれいにする。
・下着は毎日交換する
・毎晩シャワーや入浴で全身をきれいにする。
・下着は毎日交換する
などの通常の対処をされている方がほとんどでした。
しかしこれらのことでは不安で、特別な対処をしたい場合は、消臭剤を上手に使うこともポイントです。袋の中に入れておくものや、交換時に部屋に撒くものなどがあります。
またパウチカバーを使用したり、食べ物による調整などをしたりしてもよいでしょう。一般に肉、卵などたんぱく質が多い、にんにくやねぎ、にらなどにおいの強いものは便臭を強くすることがあります。しかし食べ物の調整は常に行う必要はなく、特別な場合で大丈夫です。"明日は人に会うからにんにくは控えよう"などと私たちが通常考えるのと同じように考えましょう。また、ストーマのタイプによって制限はありますが、灌注排便法(洗腸)をとる、クローズタイプの一回ごと使い捨ての装具を使用するなどの方法もあります。一般に原則さえきちんと守っていれば、心配するには及びません。トイレでの排泄時では、もちろんストーマを持っていない人でもにおうものです。あまり神経質にならず、どうか少しずつ自信を取り戻して行ってくださることを心から望んでおります。
音を止める方法はありますか。
Bouquet Staff
ガスの音を完全に止めることはなかなか難しいですね。
出そうだなと思ったら、服の上から装具の上に手を置いてみてください。
音が手に伝わって大きさを抑えることはできます。
ガスを止めることは難しいですが、基本的な生活習慣を見直すことで少なくすることはできます。
【食べ方】
ガスの80%くらいが食べる時に飲みこんだ空気によるものだと言われています。
しゃべりながら食べたりすると知らず知らず空気を飲みこむことになるので、気をつけましょう。
【食べ物】
出かける予定があるときなどは、ガスが発生しやすい食べ物を控えるとよいでしょう。
炭酸飲料、豆類、芋類、ゴボウ、豚肉など
また、ヨーグルト、乳酸飲料、パセリ、レモンなどは、ガスの発生を抑える効果があります。
出そうだなと思ったら、服の上から装具の上に手を置いてみてください。
音が手に伝わって大きさを抑えることはできます。
ガスを止めることは難しいですが、基本的な生活習慣を見直すことで少なくすることはできます。
【食べ方】
ガスの80%くらいが食べる時に飲みこんだ空気によるものだと言われています。
しゃべりながら食べたりすると知らず知らず空気を飲みこむことになるので、気をつけましょう。
【食べ物】
出かける予定があるときなどは、ガスが発生しやすい食べ物を控えるとよいでしょう。
炭酸飲料、豆類、芋類、ゴボウ、豚肉など
また、ヨーグルト、乳酸飲料、パセリ、レモンなどは、ガスの発生を抑える効果があります。
ストーマの周りの皮膚がただれて困っています。
川村三代 (神戸掖済会病院 皮膚・排泄ケア認定看護師)
どの部分にただれがあるかを確認し、原因と対策を考えていきます。
★ 面板貼付部にただれがある場合
〔考えられること〕
★ ストーマ近接部にただれがある場合
〔考えられること〕
★ 面板貼付部外にただれがある場合
〔考えられること〕
★ 面板貼付部外縁にただれがある場合
〔考えられること〕
★ 面板貼付部にただれがある場合
〔考えられること〕
- 装具交換時の剥離刺激による皮膚障害
- 剥離剤などを使用し、丁寧にゆっくりと面板を剥がす。
- 皮膚を洗浄する際、弱酸性の石鹸を良く泡立てて、こすらないように洗い、石鹸成分が皮膚に残らないよう十分洗浄する。
- 装具(面板)の耐久性に応じた交換間隔を守る。耐久性の高い長期貼付用の面板を短期間で交換するとただれの原因となるため、短期貼付用の装具に変更する。
★ ストーマ近接部にただれがある場合
〔考えられること〕
- 排泄物の付着による皮膚障害
- 面板ストーマ孔とストーマとのすき間が1〜2mm前後になるようにカットする。(又はストーマサイズより3〜4mm大きいサイズのプレカットを選択)
- 面板ストーマ孔とのすき間が空いているなら、ペーストやパウダーですき間を埋めて、排泄物がつかないようにする。
- ストーマ周囲にくぼみやしわがあるせいで排泄物がもぐり込んでいる場合、用手形成皮膚保護材(イーキンシール、スティックペーストなど)やペーストを使用し、排泄物がもぐりこまないようにする。
★ 面板貼付部外にただれがある場合
〔考えられること〕
- 真菌やカンジダ菌の繁殖による皮膚炎(パウチの裏などは特に)
- 入浴後にパウチの不織布の水分をタオル等でしっかりと水分を吸収させ、濡れたまま服を着てしまわないよう注意する。
- 下着をこまめに取り替える。
- 水性の良い素材のパウチカバーなどを使用し、1日1回は交換する。
- 確定診断をするためには、皮膚科を受診する。
★ 面板貼付部外縁にただれがある場合
〔考えられること〕
- 体動による面板外縁と皮膚の摩擦による皮膚障害
- 補強テープなどの使用による皮膚障害
- 装具を貼る位置を上下左右に毎回少しずつずらしたり、面板外縁部を少しカットするなど、毎回同じ場所に当たらないよう工夫する。
- 補強テープを貼る部分に、皮膚皮膜剤(リモイスコート、キャビロンなど)を塗布する。
座薬がすぐに出てきてしまいます。どうすればいいですか?
川村三代 (神戸掖済会病院 皮膚・排泄ケア認定看護師)
肛門と違い括約筋がないこと、直腸のような空間がないこと、蠕動運動といって常に便やガスを出そうとする腸の動きがあることなどにより、座薬を入れてもすぐに外に出てきてしまいます。座薬を入れた後は、最低5分ぐらいは袋の上からで良いので、ストーマの入り口を指で押さえておくと良いです。また、座薬を入れる時、ストーマが乾燥気味だと入りにくいので、グリセリンなど(なければ水でも大丈夫)をつけるとすべりがよくなり入りやすくなります。座薬のかけらが出てきたとしてもある程度溶けていれば効果は得られるはずですので、心配はいりません。
座薬と内服薬の違い
座薬は、直腸で吸収され大半は下大静脈という大きな血中を通り全身をめぐります。内服薬は、口から入って胃を通りますが胃での吸収量は少なく、主に十二指腸や小腸から吸収されて全身をめぐります。内服薬と座薬の効き目はほとんど同じです。座薬のメリットは?
座薬は胃に直接薬が入らないため、胃への負担を軽減できます。内服薬に比べて効き目が早く出る場合があります。※ただし、座薬によっては多少胃の不快感を感じることはあります。どんな時に座薬が適しているの?
患部の痛みが激しく、早く効果が出て欲しい場合、激しく吐いたり、飲むと気分が悪いなど、薬を飲むことができない場合、胃への刺激が強い薬を飲みたくない場合、胃の消化作用で薬が分解されやすく、座薬の方が良い効果が得られるような薬の場合、などです。
セクシュアリティ
ストーマを造設しました。これから恋愛して、結婚はできるのでしょうか?
Bouquet staff
もちろんストーマがあっても、恋愛も結婚もできます。ブーケには、ストーマ造設後に恋愛、そしてゴールインされている方がたくさんいらっしゃいます。
術後に結婚した会員を対象にしたアンケートでは、回答があった11名のうち、ストーマ造設をしてから結婚は難しいと思ったかどうかという質問で、
思ったことがある・ずっと不安に思っていた人は10人。
思ったことがなかった人は1人でした。
難しい・不安だと思った理由としては、「つきあっていた彼氏にふられた」「造設後に離婚したから」「相手に受け入れてもらえないと思っていた」などでした。
ですが、それぞれにいい出会いがあり、結婚されています。結婚を決めたとき、相手の親や身内から反対があったかどうかについては、なかった人は8人、反対された人は3人でした。パートナーが理解してくれていれば、両親や身内の反対は意外と少ないのかもしれません。
結婚を決めた理由としては、「気が合う」「一緒にいて楽しい・ラク」など、普通の恋愛と変わらないものでした。
付き合いが始まり、彼に、ストーマがあることを告白するのは勇気がいることだと思います。もし、ストーマのことを話して、離れていくようなら、彼は運命の人ではないのです。受け入れてくれて、理解してくれる人は必ずいます。まずあなた自身がストーマを受け入れ、あなたらしく生きていくことで、素敵な出会いが待っているはずです。がんばってください。
術後に結婚した会員を対象にしたアンケートでは、回答があった11名のうち、ストーマ造設をしてから結婚は難しいと思ったかどうかという質問で、
思ったことがある・ずっと不安に思っていた人は10人。
思ったことがなかった人は1人でした。
難しい・不安だと思った理由としては、「つきあっていた彼氏にふられた」「造設後に離婚したから」「相手に受け入れてもらえないと思っていた」などでした。
ですが、それぞれにいい出会いがあり、結婚されています。結婚を決めたとき、相手の親や身内から反対があったかどうかについては、なかった人は8人、反対された人は3人でした。パートナーが理解してくれていれば、両親や身内の反対は意外と少ないのかもしれません。
結婚を決めた理由としては、「気が合う」「一緒にいて楽しい・ラク」など、普通の恋愛と変わらないものでした。
付き合いが始まり、彼に、ストーマがあることを告白するのは勇気がいることだと思います。もし、ストーマのことを話して、離れていくようなら、彼は運命の人ではないのです。受け入れてくれて、理解してくれる人は必ずいます。まずあなた自身がストーマを受け入れ、あなたらしく生きていくことで、素敵な出会いが待っているはずです。がんばってください。
妊娠・出産を望んでいます。ストーマがあっても可能でしょうか?
太田 昌資 (太田クリニック 院長)
オストメイトの妊娠と出産
妊娠と出産は、健常な女性にとっても一大事業ですね。ましてや腹部の大手術を経験しているオストメイトにとっては如何なものでしょう。結論から言いますと、原則的には問題はありません。現に私が十数年前にウロストーマとコロストーマの両方を持つ女性の出産を報告した頃は、出産自体が報告ものでした。しかし、2006年の日本ストーマリハビリテーション学会では、"クローン病オストメイトにおける5例(7回)のストーマケア"や"ストーマ造設後に双胎妊娠した一例"などと普通の妊娠出産は問題にもなりません。とはいえ、あくまでも"原則的に"と冠がついているには、それなりに問題があります。妊娠と出産に分けて問題点を考えてみましょう。
オストメイトの妊娠・出産は、パートナー、婦人科医だけでなく原疾患の主治医、WOCナースや看護師ともよく相談してください。妊娠した場合もあらゆる合併症に備え各医療機関と密に連絡を取ってください。
ちなみに、十数年前に出産の報告をしたダブルストーマの女性は、最初に水着姿の写真を披露してくれたオストメイトでもありました。ストーマ自体は病気ではありません。あなたの個性です。"五体不満足"ほどではなくても、ちょっぴりの勇気を持って前向きに考えていきましょう。
<妊娠>
手術で子宮・卵管・卵巣が残っているか。
残っていても卵管閉塞など妊娠し難くなっていないか。外科主治医や婦人科医と相談してください。病気自体のために、抗がん剤や強い薬を必要としていないか。
炎症性疾患の場合、コントロール可能なことがほとんどです。ただ出産後に悪化することもありますので主治医とよく話し合ってください。遺伝性疾患ではないか。
以前、大腸線腫症で大腸全摘した女性が結婚する前に、婚約者と二人に、遺伝の可能性と、出産した場合子供の検査の時期・方法を話し合ったことがありました。逆に不妊手術を行ったことも・・・。ひどい癒着がないか。
ただこれは妊娠してみないとわかりません。腸閉塞の回数などでは計れません。問題は何所にどのように癒着しているかです。子宮はゆっくりと成長しますので意外と対応できることが多いと思われます。ストーマの変化。
腹部の膨隆に伴いストーマの腫脹・浮腫・脱出などの可能性があり、ストーマ径は確実に大きくなってきます。装具を柔らか系の大きいサイズに変える必要があります。最初に妊娠した方は、ストーマが歪だったため、あらかじめストーマ形成術を外来で行いました。<出産>
自然出産も可能ですが、多くのケースでは帝王切開になっています。妊娠中は軽かった炎症性疾患が急激に悪化することもありますので内科(外科)、婦人科の連携は欠かせません。遺伝性疾患(大腸線腫症)の場合、お子さんは15〜16才頃から20才代前半までに大腸の検査を受ける必要があります。もっとも最近では、遺伝学が進歩し遺伝子検査で危険度が予測できるようになってきました。オストメイトの妊娠・出産は、パートナー、婦人科医だけでなく原疾患の主治医、WOCナースや看護師ともよく相談してください。妊娠した場合もあらゆる合併症に備え各医療機関と密に連絡を取ってください。
ちなみに、十数年前に出産の報告をしたダブルストーマの女性は、最初に水着姿の写真を披露してくれたオストメイトでもありました。ストーマ自体は病気ではありません。あなたの個性です。"五体不満足"ほどではなくても、ちょっぴりの勇気を持って前向きに考えていきましょう。
妊娠後、腸閉塞になったらどうなりますか。お腹の癒着やこれまでに撮ったレントゲンの影響も心配です。
太田 昌資 (太田クリニック 院長)
癒着と妊娠は、なってみないと何とも言えません。腸閉塞の状態しだいでは手術、妊娠の中断や早期の帝王切開などの危険性もあります。また、癒着で卵管が炎症を起こし閉塞することもありますので、婦人科で検査を受けられるとよいでしょう。今までのレントゲン撮影は、妊娠にまず問題ないと思われます。問題は、妊娠後のレントゲンでしょう。そういった意味でも妊娠後の腸閉塞はマイナス因子です。でも絶対だめというわけではありませんので主治医とよく相談してください。
ストーマを造設後の性生活がイメージできません。
三木佳子 (近大姫路大学 皮膚・排泄ケア認定看護師)
ストーマ造設後の性生活の問題について
性の問題は、手術によって生じた身体の変化だけでなく、心の問題、パートナーとの関係性、その人の性に対する考え方、自分の価値観、あるいは人生観などたくさんの事に影響を受けます。性の問題をどのように捉えるか?は、個人個人でとても差があります。ここでは、ストーマ造設により起こる可能性があること、これまでお会いしたオストメイトの方たちから聞いたお話から、考えられることを次の4つについて私なりの考えをご説明させていいただきます。
(1)ストーマ造設後の身体的な問題
(2)自分自身の心の問題
(3)相手の理解の問題
(4)新たな性のあり方のお勧め
ここでは身体的な問題に対しての直接的な解決方法についてご説明します。もし、あなたが痛みや潤いを積極的に解決しようとするのであれば、まず、潤滑剤を試みてください。現在、多くの潤滑剤が市販されています。薬局・調剤薬局で購入・取り寄せが可能です。インターネットでも購入できます。保険適応の薬と違い処方箋は不要です、誰でも気軽に購入できます。医師が行う治療としては、薬物療法、膣拡張、手術療法があります。薬物療法では、男性機能に有効だと知名度が高いバイアグラ®の服用があります。バイアグラ®は性器の血の循環をよくして女性の膣の潤滑や神経の感受性を高める効果があるといわれています。膣拡張は、膣ダイレーターという指のような形をした器具で膣を拡張する方法です。これは、医師の指導を受け自宅で行うことができます。
最後に手術療法です。全く性交渉が不可能なほど膣が狭小化したときに、性交をするために手術で膣を形成する手術が近年行われるようになりました。医師の治療を受けたいときは、まず、手術をした医師に相談してみてください。手術をした医師がこのような治療にも関っている医師もいると思います。あるいは治療のできる医師を紹介してくれることでしょう。このような治療をする医師は婦人泌尿器科がお勧めです。まだ、日本でこの科を掲げている病院の数はけっして多くはありません。聞きなれない方も多いと思います。その他には、婦人科か、女性外来で相談してみるといいでしょう。
こんなあなたの思いを最も和らげてくれる人は、あなたにとって最も大切な人ではいでしょうか?夫、恋人、子供、友人・・・。最も大切なのはやはり性的なパートナーではないでしょうか?あなたにとって大切な人があなたを女性として変わらないと思い、それを、あなたが実感することができれば、あなたの気持ちはずいぶん楽になるはずです。日本の男性は言葉で表現するのが得意ではありません。あなたに、その思いが伝わらないゆえに、あなたは苦しんでいませんか。何かの機会にそっと聞いてみてください。「私は女性として変わったと思う?」と・・・。でも、聞ける人はもうすでに、解決のステップを昇りだしている方だと思います。
まだ、聞く勇気がない、そんな気持ちになれないと思う方は、私のような医療者や専門家に、まず、相談するのもいいでしょう。私たちの役割は心が落ち着くようにお話を聞いたり、解決方法を実行できるように応援したりすることだと思っています。
3つめだと解決策はありません。でも、3つめだと結論を出さないで、まず、1つめか2つめだと信じて解決をしてください。あなたが選んだ人が本当に人の気持ちを理解することができない人でしょうか?多くの場合は1つめか2つめです。1つめは自分の気持ちをお互いに伝えあうことができないが故の結果ではないでしょうか?そっと聞いてみること、話あってみることをお勧めします。「私・・・ストーマ・・・嫌い?」こんなふうに3つの単語を並べるだけでもいいのです。パートナーが「別に・・・」とか「いいや・・・」と答えたら、理解してくれていると理解してあげてください。日本男性は、残念ながらこの表現が精一杯の人が多いです。もし、これに失敗したら、2つめだと思ってください。今、あなたのパートナーは戸惑っています。戸惑っているがゆえに、あなたが期待する理解している言葉や態度を示すことができないのです。パートナーの態度はぎこちなく、時には、あなたが傷つくような言葉を発するかもしれません。その時は、その時期でなかったとあきらめて時期を待ってください。ストーマを持つことで離婚した方たちのお話も聞きました。逆に離婚の危機を乗り越えた方のお話も聞きました。この方たちは紙一重だと思います。理解し合える夫婦仲・・・この関係性は初めからあるものでなく、困難を乗り越えた結果と思います。
以上、私なりの考えについて述べさせていただきました。参考になる情報があればうれしく思います。
(1)ストーマ造設後の身体的な問題
(2)自分自身の心の問題
(3)相手の理解の問題
(4)新たな性のあり方のお勧め
ストーマ造設後の身体的な問題について
ストーマを造設する手術の多くは治療のために、直腸や膀胱を取り除く必要があります。直腸や膀胱を取り除くと、その周辺にある女性の性器や性器の周囲の組織を傷つけてしまいます。膣が変形したり、狭くなったり、性器自身や性器の周辺の循環が悪くなったり、神経が損傷されたりします。このために、この手術を受けた女性は性生活の時に膣の潤いが少なくなり、性交による痛みを感じたり、快感・オーガズム感が失われたりすることがあります。手術の方法によっては膣の切除や縫合のため、性交渉が不可能になる場合もあります。また、手術による性器の変化によるものだけでなく、ストーマが気になったり、病気のことが心配だったり、その他の心配事が膣潤滑作用や神経の感受性の低下にいっそう拍車をかけてしまいます。ここでは身体的な問題に対しての直接的な解決方法についてご説明します。もし、あなたが痛みや潤いを積極的に解決しようとするのであれば、まず、潤滑剤を試みてください。現在、多くの潤滑剤が市販されています。薬局・調剤薬局で購入・取り寄せが可能です。インターネットでも購入できます。保険適応の薬と違い処方箋は不要です、誰でも気軽に購入できます。医師が行う治療としては、薬物療法、膣拡張、手術療法があります。薬物療法では、男性機能に有効だと知名度が高いバイアグラ®の服用があります。バイアグラ®は性器の血の循環をよくして女性の膣の潤滑や神経の感受性を高める効果があるといわれています。膣拡張は、膣ダイレーターという指のような形をした器具で膣を拡張する方法です。これは、医師の指導を受け自宅で行うことができます。
最後に手術療法です。全く性交渉が不可能なほど膣が狭小化したときに、性交をするために手術で膣を形成する手術が近年行われるようになりました。医師の治療を受けたいときは、まず、手術をした医師に相談してみてください。手術をした医師がこのような治療にも関っている医師もいると思います。あるいは治療のできる医師を紹介してくれることでしょう。このような治療をする医師は婦人泌尿器科がお勧めです。まだ、日本でこの科を掲げている病院の数はけっして多くはありません。聞きなれない方も多いと思います。その他には、婦人科か、女性外来で相談してみるといいでしょう。
自分自身の心の問題
自分自身の心の問題・・・これが、最も大切なことだと思っています。ストーマを持つこと、手術を受けたことで自分の体をどのように捉えたらよいのか、苦しんでこられたことでしょう。私がお話を聞かせていただいた方たちから、「女性らしさを失った。」「こんな体は夫にはみせられない。」「機械人間になった。」「夫は私には魅力を感じるはずがない。」などという話をお聞きしました。言葉の表現は人それぞれですが、さまざまな思いをもち、女性として悩み苦しんだことが伝わってきました。こんなあなたの思いを最も和らげてくれる人は、あなたにとって最も大切な人ではいでしょうか?夫、恋人、子供、友人・・・。最も大切なのはやはり性的なパートナーではないでしょうか?あなたにとって大切な人があなたを女性として変わらないと思い、それを、あなたが実感することができれば、あなたの気持ちはずいぶん楽になるはずです。日本の男性は言葉で表現するのが得意ではありません。あなたに、その思いが伝わらないゆえに、あなたは苦しんでいませんか。何かの機会にそっと聞いてみてください。「私は女性として変わったと思う?」と・・・。でも、聞ける人はもうすでに、解決のステップを昇りだしている方だと思います。
まだ、聞く勇気がない、そんな気持ちになれないと思う方は、私のような医療者や専門家に、まず、相談するのもいいでしょう。私たちの役割は心が落ち着くようにお話を聞いたり、解決方法を実行できるように応援したりすることだと思っています。
相手の理解の問題
相手の理解の問題・・・これも大きな問題です。これは、理解されていないのではなく、「今、あなたが理解されていないと思っている。」と表現した方が適切だと思います。理解されていないと思う原因は3つあります。1つめの最も多いのはあなた自身がそう思いこんでいるだけ!2つめは、ストーマを持ったことに相手が、戸惑っている時期である、3つめはあなたの相手は女性の気持ちを理解できないどうしようもない人であるの3通りです。3つめだと解決策はありません。でも、3つめだと結論を出さないで、まず、1つめか2つめだと信じて解決をしてください。あなたが選んだ人が本当に人の気持ちを理解することができない人でしょうか?多くの場合は1つめか2つめです。1つめは自分の気持ちをお互いに伝えあうことができないが故の結果ではないでしょうか?そっと聞いてみること、話あってみることをお勧めします。「私・・・ストーマ・・・嫌い?」こんなふうに3つの単語を並べるだけでもいいのです。パートナーが「別に・・・」とか「いいや・・・」と答えたら、理解してくれていると理解してあげてください。日本男性は、残念ながらこの表現が精一杯の人が多いです。もし、これに失敗したら、2つめだと思ってください。今、あなたのパートナーは戸惑っています。戸惑っているがゆえに、あなたが期待する理解している言葉や態度を示すことができないのです。パートナーの態度はぎこちなく、時には、あなたが傷つくような言葉を発するかもしれません。その時は、その時期でなかったとあきらめて時期を待ってください。ストーマを持つことで離婚した方たちのお話も聞きました。逆に離婚の危機を乗り越えた方のお話も聞きました。この方たちは紙一重だと思います。理解し合える夫婦仲・・・この関係性は初めからあるものでなく、困難を乗り越えた結果と思います。
新たな性のあり方のお勧め
最後に、新たな性のあり方のお勧めについて述べさせていただきます。身体的問題のところで、解決方法について少し述べさせていただきました。身体的問題の解決方法はあくまで性交をするための方法です。でも、私は何人かの人のお話を聞く中で、性交できることが、その人にとってどれほどの意味があるのか疑問に思うことがあります。なぜなら、性は互いの満足や愛情確認などの精神的なものが目的で、肉体的なものは、方法であろうと思うからです。性交はできるものの義務的に行い、まったく満足が得られなかったりする方もいます。ですから、性交にこだわらない満足を得ることを目的とした新たな性のあり方についてお勧めしたいのです。新たな性のあり方とは、性交をしないで互いに満足のいく方法です。口や手で互いの性器を触れ合う方法、あるいは、性器以外に触れ合う方法があります。この方法は互いに満足できることを伝え合うことがとても重要になっていきます。年齢や性に対する考え方によって異なってくると思います。性器自体を十分刺激をすることによって、満足が得られる方、あるいは、抱きしめあうだけで満足が得られる方、手をつないで眠るだけで満足が得られる方、カップルによってずいぶん差があることと思います。この方法は、まず、互いに少しでも満足できる方法で折り合いをつけることから始まるかもしれません。でも、この方法で満足が得られるようになったとき新たな絆が生まれると私は信じています。以上、私なりの考えについて述べさせていただきました。参考になる情報があればうれしく思います。