ストーマの基礎知識(オストメイトって何?)
オストメイトって何?
- 様々な病気や障害などが原因で、腹壁に造られた便や尿の排泄口のことを人工肛門・人工膀胱といいます。
- 人工肛門・人工膀胱のことを総称してストーマといいます。
- ストーマを持っている人のことを『オストメイト』と呼びます。ストーマは排泄を自分でコントロールできないため装具を使います。ほとんどのオストメイトが、お腹につけた装具で便や尿を溜めて処理しています。
ストーマの種類
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便が排泄される消化管ストーマ(人工肛門)
コロストミー イレオストミー -
尿が排泄される尿路ストーマ(人工膀胱)
ウロストミー -
消化管ストーマと尿路ストーマの両方を造設している方もいます。
ダブルストーマ
消化管ストーマ(人工肛門)・・・・便が排出されるストーマ
ストーマをつくる腸管や位置により、切除される腸の長さや便の性状が異なります。
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コロストミー(結腸ストーマ) 結腸に作られたストーマ(排泄口)のこと。
ストーマの種類 便の性状 上行結腸ストーマ
横行結腸ストーマ
下行、S状結腸ストーマ水様〜泥状
泥状〜軟便
軟便〜固形
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イレオストミー(回腸ストーマ) 回腸に作られたストーマ(排泄口)のこと。
ストーマの種類 便の性状 回腸ストーマ 水様(通常の場合)
尿路ストーマ(人工膀胱)・・・・尿が排出されるストーマ
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ウロストミー 尿路変向術の種類によりストーマの位置や大きさが異なります。
ストーマの種類 排泄の方法 回腸導管 回腸の一部を使ってストーマを造設しています。
ストーマからは尿だけではなく、腸の粘液が出る場合もあります。尿管皮膚瘻 尿管を直接お腹の外に出して、そこから尿を排泄します。
カテーテルが入っている場合もあります。
2本ある尿管を左右の下腹部にそれぞれ引き出す場合と、2本まとめて右か左どちらかの下腹部に引き出す場合があります。腎瘻 カテーテルを直接腎盂(じんう)に挿入し、持続的に尿を排泄します。 膀胱瘻 カテーテルを恥骨上部から膀胱内に挿入します。
カテーテルなしで、直接尿が排泄される場合もあります。
上行結腸ストーマ | 横行結腸ストーマ | 下行、S状結腸ストーマ |
イレオストミー | 回腸導管 | 尿管皮膚瘻 |
【間違いやすいストーマ用語】
ストーマに関する専門用語の中で、「何だかよくわからないけど、みんながそう言ってるから何となく自分も使っている」「へ〜!?それって実はそういう意味だったの!」という用語をいくつかピックアップして解説します。-
ストーマリハビリテーションストーマリハビリテーションという言葉は、日本人が作ったってこと知ってましたか?
近畿大学名誉教授であり、日本オストミー協会の顧問医でもある進藤勝久先生が、世界で初めて提唱した言葉なのです。それ以前は、「ストーマの後療法」とか、「ストーマセラピー」などと呼ばれていました。手術してできあがったストーマは、排泄機能としての役割を果たすものであり"病気"ではない、ストーマケアは治療ではなく機能回復援助と捉えるべきであるという考えから、第三の医学、すなわちリハビリテーションであると提唱されました。
ストーマリハビリテーション学用語集では、「ストーマと合併症の障害を克服して自立するだけでなく、ストーマ保有者の心身および社会生活の機能を回復させること。また、それを促進する技術と方法」と定義されています。
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パウチパウチを直訳すると「袋」です。化粧品や小物を入れる小さな袋のことを「ポーチ」と言いますね。実はこれと同義語なのです。カンガルーのお腹の袋のことも「パウチ」って言うんですよ(*^o^*)。
最近、パウチのことをわざわざ「ストーマ袋」って呼ぶことがありますが、何だか違和感あるなぁ・・・って思っている人も多いのではないでしょうか。ブーケのホームページには、パウチ(※ストーマ袋とも言われている)「ストーマからの便や尿を受ける粘着材のついた袋をいう。ワンピースタイプとツーピースタイプがある。またドレイン(下部開放)タイプとクローズ(閉鎖)タイプがある」と書かれています。
医学の世界では、導尿型代用膀胱といって腸を袋状に縫い合わせたものを膀胱の代わりに体内に置く術式があり、「コックパウチ」とか「マインツパウチ」とかがあります。ストーマ用装具である袋を一般的に「パウチ」と呼んでいますがこのように様々な意味合いで使用される言葉であるため、混同しないようストーマに関する専門用語としては、「ストーマ袋」と呼びます。
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面板パウチや洗腸用スリーブなどを身体に固定するため、皮膚に当てる平板のことで、粘着式と非粘着式のものがあります。パウチと一体型になっているものと、そうでないものがあります。粘着式面板には粘着作用、吸水作用、皮膚保護作用などがあり、ストーマ周囲の皮膚を守ってくれます。健康な皮膚のpHは4.5〜6.0の弱酸性で、面板も同じぐらいのpHに設定されていて、皮膚の生理的な機能を損なわないよう調整されています。少々の浅い傷などがあっても面板がきちんと皮膚にくっついていれば、1〜3日程ですっかり治ってしまいます。
1980年代頃から、面板を貼っているとストーマ周囲の皮膚のただれが治ったり、傷の治りが早いということがわかり、この面板に使用されている皮膚保護成分を使って傷を治すための医療用品がたくさん開発されてきました。市販では、絆創膏型の"キズパワーパッド"などがこれに当たります。
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フランジフランジを面板のことだと思っている人が多いのではないでしょうか?フランジとは、ツーピース装具の面板とストーマ袋を嵌め合わせるプラスチックの輪っかの部分を指します。
1980年頃コンバテック社が、日本で初めて2ピース装具の皮膚保護材付き面板を"バリケアフランジ"という商品名で発売したことから、"フランジ"という用語が面板の代名詞となって全国に広まりました。2003年にストーマリハビリテーション学用語集が発行され、正しい用語の使用が推奨されるようになりましたが、医療従事者の間にも未だ根強く残っています。
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凸型装具(とつがたそうぐ)面板にコンベックスが内臓されたもので、凸の部分が高さのないストーマの周囲を圧迫し、ストーマに高さを持たせて排泄物を漏れにくくします。ストーマ周囲にやわらかいしわがある場合や平坦なストーマ、陥凹ストーマの方に適しています。 一昔前は平型装具しかなく、唯一、コンバテック社が自社製品の面板に嵌め込んで使用する"コンベックスリング"を発売しているぐらいでした。10年程前から装具の開発がどんどん進み、初めから面板にコンベックスが内臓されている製品が各社から発売され始めました。今では自分のストーマに合わせて、いろいろ選べるようになりました。
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この他、普段使っている用語で実はとてもおかしいものがあります。その代表が「ストーマ交換」です。ストーマ装具を貼りかえることを「ストーマ交換」と言ったり、「フランジ交換」などとつい言ってしまいますが、これは、本当は間違いなのです。また、「ストーマ装具」のことを「ストーマ」と呼ぶ人もいます。
ストーマの語源はギリシャ語で"口"という意味があり、人工肛門・人工膀胱の総称で、自分の身体の一部を利用して便や尿の体外に排泄するために手術で腹壁に造った(自然にできた孔も含めることがあります)孔のことを指します。つまり、ストーマは自分の身体の一部なので「交換する」という表現はとても変なのです(*^o^*)正しくは、「ストーマ装具交換」です。「面板交換」「装具交換」でも○。
ストーマ用語については、他にもいろいろホームページに載っていますので、ぜひ調べてみて下さいね。自分の体のこと、自分が使う大切な装具のこと、正しい知識を身につけましょう!!でも、もちろん普段の会話で、そんな堅苦しいこと言う必要はありませんから、好きな呼び方で自分のストーマをかわいがってあげましょうね!(*^o^*)