オストメイトの災害対策
自然災害には、地震・津波・洪水・地滑り・火山噴火・暴風・竜巻・干ばつ・飢饉などがあります。
特に、日本は地震大国と言われ、下記のように大きな被害をもたらす地震が頻繁に起きています。ですから、わたしたちは日頃から地震に対する備えをしておく必要があります。
○ 近年、日本で発生した大地震
○ ライフライン"水"の確保
○ 自分に合った装具が手に入らない
○ "ストーマ装具" の確保
○ 情報の入手
○ 創意工夫
○ 普段から連携を
○ 自分でできることはする・他人を気遣う
Q."いざ"という時のための準備として、普段から気をつけることは?
Q.何をどのくらい持ちだせば良いの?
Q.装具を持ちだせなかったらどうすれば良いの?
Q.装具以外で手に入れた方が良いものってある?
Q.自分が普段使っている装具を早く手に入れるにはどうすれば良いの?
※日本オストミー協会の緊急対策支援
○ ライフライン"水"の確保
○ 自分に合った装具が手に入らない
○ "ストーマ装具" の確保
○ 情報の入手
○ 創意工夫
○ 普段から連携を
○ 自分でできることはする・他人を気遣う
Q.何をどのくらい持ちだせば良いの?
Q.装具を持ちだせなかったらどうすれば良いの?
Q.装具以外で手に入れた方が良いものってある?
Q.自分が普段使っている装具を早く手に入れるにはどうすれば良いの?
※日本オストミー協会の緊急対策支援
近年、日本で発生した大地震
発生日 | 発生地・地震名 | 震度 |
平成7年(1995年)1月17日 | 阪神淡路大震災 | 7 |
平成12年(2000年)10月 6日 | 鳥取県西部地震 | 6強 |
平成13年(2001年) 3月24日 | 芸予地震 | 6弱 |
平成15年(2003年) 7月26日 | 宮城県北部〔宮城県中部〕 | 6強 |
平成15年(2003年) 9月26日 | 十勝沖地震 | 6弱 |
平成16年(2004年)10月23日 | 新潟県中越地震 | 7 |
平成19年(2007年)3月25日 | 能登半島地震 | 6強 |
平成19年(2007年)7月16日 | 新潟県中越沖地震 | 6強 |
ライフライン "水" の確保
ライフラインである上下水道・電気・ガスの全てが機能しなくなります。
まずは、飲み水の確保が優先です。
お風呂場に水を溜めておくという事は良く知られていますが、火災時だけでなく"いざ"という時のトイレ用排水としても使用できます。
ペットボトル飲料を常備しておきましょう。
まずは、飲み水の確保が優先です。
お風呂場に水を溜めておくという事は良く知られていますが、火災時だけでなく"いざ"という時のトイレ用排水としても使用できます。
ペットボトル飲料を常備しておきましょう。
自分にあった装具が手に入らない
日本で販売されている装具は300種類以上あると言われ、皆さんはその中からご自身のストーマの形状や大きさ、腹壁の状態に合わせた装具を選んで使用されていると思います。自分に合わない装具の使用はとても難しく、何でも良いという訳ではありません。
水や食料、衣料品などは、大きな災害があっても比較的早期(2〜3日目)から流通し始め、1週間もすれば日々の生活をやりくりできる程度は確保できます。しかし、オストメイトにとって必需品であるストーマ装具は、一般に流通している物ではないため、救援物資として届くのにとても時間がかかります。
水や食料、衣料品などは、大きな災害があっても比較的早期(2〜3日目)から流通し始め、1週間もすれば日々の生活をやりくりできる程度は確保できます。しかし、オストメイトにとって必需品であるストーマ装具は、一般に流通している物ではないため、救援物資として届くのにとても時間がかかります。
"ストーマ装具"の確保
電話は使えないので、電話で装具を注文したり、病院や装具メーカーに問い合わせるということも困難です。逃げる時にたった1セットでもよいから装具を持って出るために・・・
- 就寝時かならず枕元など手の届くところに、装具を1〜2セット入れたポーチなどを携帯ラジオや懐中電灯などと一緒に置いておく習慣をつけましょう。
- 家の玄関の近く(下駄箱の隅など)や窓の近くのタンスなどに装具を保管しておくと、万が一家屋が倒壊した場合でも外から発見しやすく確保できる可能性が高くなります。
- 瓦礫の中でも見つけやすいように赤や黄、緑などの蛍光色の携帯用ポーチに装具を入れておくと良いでしょう。
情報の入手
- 災害発生後2〜3日すると、食料、衣料品などの救援物資が体育館などの避難場所に、少しずつ届き始めます。
- 公民館や体育館、学校など、災害時の避難所として指定されている場所には、比較的早くから救援物資が届き、自衛隊や医療ボランティア、生活ボランティアなどが集まるため様々な支援、多くの情報も集まります。
- 個人で避難していると救援物資が手に入らないことと、何より情報が入らないという問題があります。
- もし、個人で避難していてもできる限り公的な避難所へ定期的に出向いて情報を入手し、他人とコミュニケーションを取るようにしましょう。
創意工夫
これがなければできない・・・・、これがないから無理だ・・・・、と思い込まないことが大切です。"いざ"となったら、とっさに考え方を切り替えられるかどうかが勝負。災害時に早期から救援物資として数多く届けられるのは衣類。
こういう時こそ、装具がなかった時代の智恵を使います。
こういう時こそ、装具がなかった時代の智恵を使います。
- 衣類の切れ端などをくるくる巻いてドーナッツ状のリングを作りストーマ周囲に置き、その上から衣類を被せます。気になって眠れないでしょうし、臭いの問題までは回避できませんが、万が一、1枚も装具が手元にない場合、こういう衣類を腹部に当てて取り替えるだけでも何とか数日はしのげます。
- お風呂に入るための水の確保は少し遅くなりますが、ペットボトル飲料が普及した現在では、飲み水の確保はかなり早期から可能だと考えられます。水が手に入ったら、ストーマの周囲をやさしく拭いてあげましょう。
- ある程度(1〜2週間)経つと、意外に紙オムツやウェットティッシュなどが手に入ります。自衛隊の給水車も来ます。イレオストミーやウロストミーの方は、同じようにドーナッツリングを使い、紙オムツを当てビニールテープやセロテープなど、手に入るもので周囲を覆います。
#ドーナツリングの作り方#
ハンカチやタオル、衣服などの切れ端など材料は何でも大丈夫です。
棒状にくるくるまとめてから輪っか状にします。
ストーマの上に直接置き、その上からビニール袋やラップなどをかぶせて使用します。
棒状にくるくるまとめてから輪っか状にします。
ストーマの上に直接置き、その上からビニール袋やラップなどをかぶせて使用します。
普段から連携を
今や携帯電話や電子メールは、わたしたちの生活に欠かせないものとなっています。ライフラインである電気がストップしこれらが使えなくなった途端、どうして良いか分からずパニック状態に陥る可能性があります。
また、交通網が遮断されるため、普段かかっている病院や医療機器店に装具があると分かっていても、そこまで辿り着くのにかなり苦労します。郵便物もいつどこに届くやら・・・・といった状況で、しばらくは当てにできないでしょう。
何せ、街全体が壊れているので、住所なんて分からないし、郵便局と職員自体も被災しているのですから・・・。
また、交通網が遮断されるため、普段かかっている病院や医療機器店に装具があると分かっていても、そこまで辿り着くのにかなり苦労します。郵便物もいつどこに届くやら・・・・といった状況で、しばらくは当てにできないでしょう。
何せ、街全体が壊れているので、住所なんて分からないし、郵便局と職員自体も被災しているのですから・・・。
- 近隣にオストメイトがいる場合、普段から交流や情報交換をしましょう。
- 各都道府県にオストミー協会の支部がありますので、所在地を確認しておきましょう。
- 普段から患者会などに参加し、お互いの顔を知っておくことも大切です。
-
普段から掛かりつけの病院やストーマ外来を持っておきましょう。
"いざ"という時には、お互いに連携が取れるようにしたいですね。
自分で出来ることはする・他人を気遣う
- 自分だけ・・・ではありません。大災害の時は、周囲の人全てが被災者です。誰かに助けてもらわなくちゃ無理だと考えず、自分で出来ることはすること。
- 自分が大変だということは、周囲の人みんなが大変だということを忘れずに。必要な時は遠慮せず助けてもらい、まずは自分がしっかりと自立(自律)すること。そして、自分が動けるようになった時には、率先して他人を助けることが大切です。そうすることで、助け合いの輪が広がります。"いざ"という時こそ、他人を気遣うことができる自分でありたいですね。
Q. "いざ"という時のための準備として、普段から気をつけることは?
-
装具は1〜2枚いつも肌身離さず携帯しましょう。
(例:専用のポーチ、服のポケット、腹帯を折り返した中など) -
保管場所は複数にしましょう。
(例:枕元、玄関、勤務先、親戚宅などで高温にならない場所)-
使用制限は保存状況により違ってきますが、だいたい2〜3年。
常に非常持ち出し用を交換し、古くならないよう心がけましょう。
-
使用制限は保存状況により違ってきますが、だいたい2〜3年。
-
装具はすぐ使用できる形で保管しておくと良いでしょう。
(例:自分で穴をカットしている人の場合、あらかじめ2〜3枚カットした状態で、2品系装具を使用している人は、面板と畜便(尿)袋をセットで保管しておくなど) -
電話注文だけでなく、装具販売店に実際に出向き、お店の場所を確認しておきましょう。
- お店の人と顔なじみになっておくと、"いざ"という時に、相手がすぐに自分のことを分かってくれることはとても重要ですね。
- かかりつけの病院やストーマ外来を見つけておくことが大切です。
- オストメイトの仲間を作っておくことも大切です。
Q. 何をどのくらい持ち出せば良いの?
-
装具は3〜5回分程度。(2週間ぐらい過ごせるぐらいを目安に)
-
災害などで緊急避難をする場合、荷物は最低限にしたくさん持たないのが基本です。
可能な限りリュックなど、背中に背負い両手が使えるような袋を利用します。
-
災害などで緊急避難をする場合、荷物は最低限にしたくさん持たないのが基本です。
- ウエハー、ペースト、はさみ、ベルトなどパウチ以外で自分が必ず使用する物。
-
導尿している人は、カテーテル1〜2本。
- きれいな飲み水が確保できれば、それで洗浄して繰り返し使用します。
-
非常の場合でも、いつも使い慣れた装具を使用するのが一番。
たくさん持ち出すことが可能であれば、それに越したことはありません。
ただし、危険を冒してまで取りに戻るのはやめましょう。
Q. 装具を持ち出せなかったらどうすれば良いの?
-
装具を持ち出せなかった場合、あるいは手持ち分が残り少なくなった時は、避難所で災害時救援物資指定の「ストーマ装具」支給を申請して受け取ります。
- ただし、一部の地方自治体では、ストーマ装具の支給体制が整っていないところがありますので、各自確認しておきましょう。
- オストミー協会や病院、医療機器店などに相談してみて下さい。
Q. 装具以外で手に入れた方が良いものってある?
- ティッシュ、ウェットティッシュ
- 紙オムツ、尿取りパッド
- 小タオルまたはガーゼ(未滅菌で良い)、なければ衣類
- ビニール袋(ゴミ袋)
- 幅広の絆創膏 など
- 缶やペットボトルのお茶や水(尿路感染予防)
- 生理用ナプキンや紙オムツ(水分を吸収し固める)
日本オストミー協会の緊急対策支援
(社)日本オストミー協会では緊急対策として、オストメイトや施設から依頼のあった装具を、補装具販売店から災害時緊急輸送物資として配達できるように手配することになっています。
また同時に、日本ストーマ用品協会に対して、補装具販売店への各種装具の緊急配送を依頼するシステムになっています。
日本オストミー協会 ホームページはこちらをクリック
また同時に、日本ストーマ用品協会に対して、補装具販売店への各種装具の緊急配送を依頼するシステムになっています。
日本オストミー協会 ホームページはこちらをクリック
Q. 自分が普段使っている装具を早く手に入れるにはどうすれば良いの?
- 自分のストーマサイズを覚えておきましょう。
-
普段から商品や商品番号で注文する習慣をつけておきましょう。
- 箱に書かれている製品番号の部分を切り取って財布などに入れておくと便利です。
-
災害などの緊急時には、商品の流通も混乱したり、途絶えてしまったりします。
また、普段取引している医療機器店やメーカー自体が被害に遭うことも考えられます。
他メーカーの商品であっても、サイズや普段使用している製品番号を伝えれば、それに類似した商品を紹介してもらうことができます。
自分にあった装具をできるだけ早く入手するには、いつでもどこのメーカーにでも依頼できるよう、最低限上記の内容について覚えておくと良いでしょう。